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〈崖っぷちの豪州戦ルポ〉森保ジャパンを救った田中碧の貪欲さと、W杯予選の重みを知る長友佑都が漏らした「安堵の言葉」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byGetty Images
posted2021/10/16 11:00
試合後、どこかホッとしたような表情を浮かべる長友佑都。ベテランとしてW杯連続出場への重責を背負う
オーストラリア戦では、中盤の立ち位置の良さからボール奪取の場面も増えている。「後出しじゃんけんみたいに相手を見て、判断する」と守田が語るポジション取りが光った。
「相手を見て、必然的に立ち位置が決まる。サッカーは相手ありき。どこに立つかで変わる。みんなが良い位置に立てば、勝手にボールは回る」と語った田中の言葉には守田との共通点も多い。まさにこれは川崎フロンターレの哲学なのだろうと感じた。
大迫勇也、柴崎岳…経験豊富なチームの中核も発奮
前線からプレスをかける場面とブロックを作り守る場面の使い分けに神経を使っていたのが、守備のスイッチ役となる大迫勇也だった。南野や伊東の帰陣が遅れるとみるとサッと自身がポジションを下げて守る。198センチのハリー・サウターを背負い、DFに囲まれながらもボールをキープしてみせた。シュートは1本と少なかったものの、大迫らしい献身的なプレーは確実にチームを支えていた。
61分、股関節あたりを手で押さえていた大迫と代わり、古橋亨梧がセンターフォワードとしてピッチへ送り出された。
しかし、70分にアイディン・フルスティッチにFKを決められて同点に追いつかれる。
残り時間は20分余り。1-1のまま試合が終われば、予選突破がさらに厳しくなるのは間違いない。78分、南野に代わって浅野拓磨が投入される。前への推進力が高まる。79分に遠藤からの浮き球のパスに古橋が抜け出してシュートを放つも相手DFにブロックされ、さらにそのこぼれ球を浅野がシュートするもGKのマシュー・ライアンにセーブされた。
まずは勝ち点3を得ることが最優先だが、かと言って失点してしまえば元も子もない。
試合終盤の舵取りが難しい状況で、森保監督は守田に代えて柴崎岳を、長友に代えて中山雄太を送り出した。ピッチに立った柴崎は、さっそくチームに勢いを注入するようにエリア内の浅野へパスを送る。そして、86分。吉田麻也のロングフィードを浅野が受けて、ゴール左から打ったシュートはライアンに片手でセーブされながらも、相手DFに当たってゴールネットを揺らした。