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初めて“メッシがいないチーム”でCL優勝なるか… 進化するグアルディオラの戦術は“サッカーの偶然性”をも支配する?
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byGetty Images
posted2021/05/28 17:01
4シーズンで三度目のプレミア制覇を成し遂げたペップ。勝利に一途なリアリストの表情は年々その彫りを深くしている
「年配棋士は得意の戦型が忘れられない。それを用いて勝った記憶が忘れられない。もうその戦型は通用しなくなっているというのに」
将棋の米長邦雄永世棋聖の言葉に、ペップは当てはまらない。彼の場合、成功によって得た自信が、別の道を選ぶことを邪魔しないのだ。
例年以上に手堅い戦いぶりでCLファイナルへ
現地時間5月29日、ペップはバルサ時代の2010-11シーズン以来、実に10年ぶりにCL決勝の舞台に立つ。相手は同じプレミアリーグのライバル、チェルシーだ。
バイエルン時代も、シティでの過去4年も、なぜかCLには手が届かなかったペップ。
もしかすると、ビッグイヤーへの渇望が強すぎたのかもしれない。昨季もリヨンを相手に3バックの奇策を仕掛け、準々決勝で無残に敗れ去っている。それでも、「策士策に溺れる」との批判を教訓としたのか、今季は例年以上に手堅い戦いぶりで、ファイナルまで勝ち上がってきた。
「結局メッシがいなければ、ビッグイヤーは獲れないのさ」
果たしてペップは、そう言って意地悪くほくそえむアンチたちの最後の拠り所も蹴散らして、さらに遠くへと行ってしまうのだろうか。
嫉妬は、深まるばかりだ。