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「肉は切らせずに骨を断つ」プレミア対決を制しチェルシーは2度目のCL制覇なるか 2012年に通じる運命と相違点とは
posted2021/05/16 17:01
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
5月29日に行われる今季のCL決勝の「予行演習」では、チェルシーがマンチェスター・シティに逆転勝利を収めた(2-1)。5月8日のプレミアリーグ第35節のことだ。
シティはほぼ互角だった前半にラヒーム・スターリングのゴールで先制したものの、追加点とすべきPKでセルヒオ・アグエロがパネンカを失敗。後半には監督のジョゼップ・グアルディオラが「あれはPK」と繰り返したとおり、スターリングがPKをもらい損ねる不運にも泣いた。
一方のチェルシーは、指揮官のトーマス・トゥヘルの「相手ハーフでのボール支配率を高めろ」というハーフタイムでの指示を守り、ハキム・ジエシュが試合を振り出しに戻し、終了間際にマルコス・アロンソがひっくり返した。
結果としてシティのリーグ優勝決定が持ち越され、チェルシーは僅差のトップ4争いで3位に浮上したように、大詰めの今季プレミアにおける重要な上位対決だった。
CL準決勝ではレアルに勝つべくして勝った
それでも、観る側としては3週間後のCL頂上対決を意識せずにはいられなかった。特にシーズンが後半戦を迎えた今年1月の時点では思ってもみなかった決勝に、「勝てる」という自信まで手にして臨めるチェルシー寄りの視点では、だ。
クラブのCL歴を比較すると、史上初の決勝進出を果たしたシティに対して、優勝1回を含め3度目の決勝となるチェルシーに分がある。
とはいえ、グアルディオラ体制5年目のシティが、今季CLでの連勝を7に伸ばした5月4日の準決勝第2レグ(対パリSG、2-0)で見せた強さは圧巻だった。
今年からマウリシオ・ポチェッティーノが率いるタレント集団を、まるで“並のチーム”のように退けたことで、念願のCL初優勝は固いと思わせた。
また、プレミアリーグでは4位のチェルシーと19ポイント差。出足が鈍かったシティは昨年12月からのリーグ戦15連勝で首位独走となったが、勢いを強めることになったのはフランク・ランパード前体制下のチェルシーを下した1月上旬の一戦(3-1)だった。
だが、5月5日のレアル・マドリーとのCL準決勝第2レグに勝つべくして勝った(2-0)、トゥヘル体制5カ月目のチェルシーも強かった。
そして、中2日で迎えたリーグでの直接対決。直前のCL戦から自軍は5名、敵軍は9名とスタメンの多くを入れ替えての対戦ではあったが、チェルシーにすれば4月17日に終始優勢のまま勝利を収めたFAカップ準決勝(1-0)に続いて、新体制下でのシティ戦2連勝を意味する逆転勝利となった。