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グループLINEでスタメン落ちを知らされ…「3番・梶谷隆幸」実現までの舞台裏 巨人軍監督室で原監督とサシで話したこととは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2021/04/15 11:20
14日中日戦の3回、2ランホームランを放った巨人の3番・梶谷
空回りが続く打線を何とか活性化させようと、中日の先発左腕・大野雄大投手を想定して組まれたオーダーには石川慎吾外野手、廣岡らが抜擢されていた。ただその時点で、その中に梶谷の名前はなかったのである。
「僕の目には梶谷はずっと足踏みをしているように映っていたんです」
「最初に選手に伝えたオーダーの3番は亀ちゃんでした」
原監督は言う。
「もちろん打てなくて苦しんで、彼は彼なりに様々な努力をしてきた。ただ、僕にはやっていることはルーティンも何も、あまり変わっていないように見えていた。我々は今日より明日、明日より明後日という繰り返し。日々前に踏み出して成長するしかない。そうして成長していくためには、もっと彼自身がもがかないとダメだと思っていたんですね。それで一度、この節目のところで先発を外そうと決断したわけです。だから最初に選手に伝えたオーダーの3番は亀ちゃん(亀井)でした」
ただ、そこで終わらないのが原流でもある。
監督室に梶谷を呼んでサシで話をした
翌日の練習前に梶谷本人を東京ドームの監督室に呼んだ。監督室で監督とサシで話すのはもちろん、監督室に入ったのも梶谷は初めてだったという。そしてそこで先発を落とす理由を説明し、原監督が自分の口で梶谷にどんな姿を求めているのかを直接、伝えた。
「僕は『お前さんの今の姿を見ていると足踏みをしているように見える。でも、俺たちはもっともがいている姿が見たいんだ。もがいて、もがいて、その中から一歩でも前に進むことが必要なんじゃないか』という話をしました」
原監督は言う。
そして最後に梶谷にこう問いかけた。