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日本人選手は本当に“メンタルが弱い”のか? スポーツ精神科医に聞く「やっぱり長谷部はすごい?」「もったいない選手は…」 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byJMPA/JMPA/Getty Images

posted2021/03/04 17:02

日本人選手は本当に“メンタルが弱い”のか? スポーツ精神科医に聞く「やっぱり長谷部はすごい?」「もったいない選手は…」<Number Web> photograph by JMPA/JMPA/Getty Images

左から長谷部誠、久保建英、本田圭佑

――「何を言っているか意味がわからない」ですか?

「私も返答された意味がわからなくて困惑しました(笑)。だけど続けて聞いてみると、『ここでは自分がゴールを決めるんだという選手が多すぎて、逆にそれをどう抑制するのか考えている。だからその質問には答えられない』ということだったんですよね」

――日本とは全く逆の理由で悩んでいるんですね。

「そうなんです。すでにアカデミーの世代からそもそもの“キャラクター”が全然違うんです。

 日本で私が小学生の選手に講義する際は、まず自分の長所と短所を言ってもらいます。それは、自分のことが見えて分析できていないと思考ができず、感情も上手く作用しないから。でも、長所を言えない子ってすごく多いんです。短所は思いつくのに、長所は自慢しているようで言えない。海外とはまるで逆なんですよ」

――日本特有の「謙遜」の文化でしょうか。

「日本のそうした文化でずっと育っていけば、大人になってから考え方を改めるのもなかなか難しいですよね。だから、プロの選手でも、自分の長所を試合で押し出したり、自分をアピールするのが下手というか、苦手な方も多くいます」

日本人選手で「メンタルが強い」選手は?

――日本も例外ではありませんが、海外でも自分をアピールできないのはマイナスに影響しますよね。

「海外の選手はリスペクトはするけど、謙遜はしないですからね。自分の長所と短所をしっかり踏まえたうえで、自分の持ち味を自分の言葉で言えるようにならないと海外に行った時、監督や仲間に伝えられず、それが自信を失ってしまうきっかけになってしまうことも少なくありません。そういった意味でも積極的にチームメイトや監督とコミュニケーションをとって、自分の意思を自分の言葉で表明することも大事だったりします」

――自分を信頼してもらい、大事な試合で起用してもらうためには自分をアピールし、理解してもらうことが必要ですが、そこが日本人の課題なわけですよね。日本人でそういう課題を克服して成功している選手というと誰が思い浮かびますか。

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