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日本人選手は本当に“メンタルが弱い”のか? スポーツ精神科医に聞く「やっぱり長谷部はすごい?」「もったいない選手は…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJMPA/JMPA/Getty Images
posted2021/03/04 17:02
左から長谷部誠、久保建英、本田圭佑
「南野(拓実)選手ですね。リバプールの優勝写真を見ても彼は端にいるんですよね。空気を読むといいますか、そういう場面でなかなか前に出ていないところがプレーにも反映されていたような気がします。ですが、サウサンプトンに移籍されて状況は変わっているように見えます。安心してプレーしているのが見てとれますね。
プロになったり、海外で活躍できるようになるのは技術だけじゃないんです。自分で感情を整えることが大事なのです。メンタルは思考であり、感情ですから」
メンタルで考える「バイエルンはなぜ強いのか?」
ピッチで自信を持ってプレーするには、自分の技術への信頼、経験値、さらにチームに対する自信も重要な要素になってくる。木村医師にサッカーにおけるチームメンタルについて聞いてみると、ある名門チームの名前が出てきた。
――自分のメンタルを整えることも必要ですが、その上で所属するチーム全体の雰囲気も重要な要素になりそうです。
「昨季のチャンピオンズリーグを観戦していて、まさにその重要性を感じていたところでした。バイエルンはさすがですね」
――どこにその凄さを感じたのですか?
「バルセロナと対戦した準々決勝で、バイエルンは開始4分に先制したのですが、そのわずか3分後にアラバが同点のオウンゴールをしてしまうんです。優勝を期待され、決して簡単ではないバルセロナとの試合では決定的なミスでした。でも彼の表情は、笑ってたんです。他の選手を見ても深刻な顔をしているメンバーは誰一人いませんでした。
普通、こんな大舞台でオウンゴールしたら『やば……』って瞬間的でも悲観的になっちゃうものじゃないですか。でも、そこで笑いが許されるのは、ここで負けないっていう全員の共通認識があり、全員のコミュニケーションが取れているからだと思うんです。つまりチームとしての圧倒的な自信がついている」
――強固なメンタルを備えたチームなんですね。
「セルヒオラモスを目指すな」の理由
――先ほど日本人選手でメンタルバランスの取れた選手として長谷部選手と川島選手を挙げていただきました。海外にも目を向けて「模範とするべき選手」を教えてください。