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巨人が日本シリーズ「全試合DH」を受けた本当のワケ 周東佑京に“秘密兵器”を使うためだった!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/11/20 17:05
今季、13試合連続盗塁成功の世界記録を達成した周東。日本シリーズで、巨人はその快足を止められるか
0.1秒を巡る攻防がシリーズの明暗を分ける?
盗塁阻止はバッテリーの共同作業。捕手だけではなく投手の牽制やクイック、また投手がボールを長く持つことで走者のスタートを切りにくくさせるなど、やるべきことはいっぱいある。そんなあらゆるテクニックを使って周東封じに力を注ぐが、岸田の存在がシリーズでカギを握ることになるのかもしれない。
投手が動き出してから、捕手の送球が二塁カバーの野手のグラブに収まるまでの所要時間は、大体3.5秒前後と言われる。
一方、一塁走者がスタートを切って二塁に到達するまでには3.4秒前後で、だからこそ盗塁の成功率は6割5分から7割を越える数字となる。
しかし菅野のようにクイックのうまい投手なら、守備側の時間は0.1秒ほど短縮され、ソフトバンクの甲斐のようにポップタイムで1.7秒台を叩き出し、なおかつ低く強いボールを野手の構えるグラブ付近に正確に投げられるコントロールの良さも備えている捕手なら、そこからまた0.2秒ほど時間を詰めることができる。
盗塁を巡る攻防とは、まさに0.1秒単位の攻防であり、それがシリーズの明暗を分けることになるかもしれない。
「面白いシリーズになると思いますよ。スリリングな、息を抜けないね」
下馬評は圧倒的にソフトバンク有利だ。
それでもあえて不利と思えた全戦指名打者制度をあっさり受け入れた原監督のこの言葉が、妙に不気味に感じられる。
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