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巨人が日本シリーズ「全試合DH」を受けた本当のワケ 周東佑京に“秘密兵器”を使うためだった!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/11/20 17:05
今季、13試合連続盗塁成功の世界記録を達成した周東。日本シリーズで、巨人はその快足を止められるか
「大城を指名打者、岸田を捕手」という構想
今季の平均のポップタイムは1.86秒で最速は1.82秒。1.7秒台を叩き出すソフトバンクの甲斐拓也捕手には及ばないものの、最速で1.8秒台前半はかなりの好タイムであることは間違いない。
この点に注目したのが原監督なのである。
「リードとバッティングも悪くないし、岸田はシリーズで使うよ」
こう語って指名打者制度が使えるペイペイドームで大城を指名打者に回して、岸田の先発という構想を持っていた。
ところがそこに飛び込んできたのが工藤公康監督の提案だったのだ。それにあっさり乗っかり全戦指名打者制度での戦いを決めてしまった。
巨人の選択肢は確実に増えた
「有利とか不利とかは度外視して、選手の安全であったり、あるいは時間短縮であったり、あるいはスリリングな野球をするとか。まあ近代野球ではやっぱり、一歩踏み出す必要があるだろうということですね」
原監督は言う。
もちろん新型コロナウイルス感染拡大の第3波が訪れる中でのシリーズ、という環境面を考えての決断でもある。
ただ、このシリーズの1つのカギを握るのが周東の足だとすれば、指名打者制度の導入で巨人の選択肢は確実に増えることになる訳だ。
牽制やクイックがうまいエースの菅野智之投手が先発する第1戦では、シーズン中からコンビを組んできた大城がマスクをかぶることになるのだろう。
ただ戸郷や畠だけではなく、第2戦に先発が予想される今村信貴投手とも岸田はファームでコンビを組んでいた経験がある。初戦の状況次第では、思い切って、第2戦から岸田を先発起用するケースも考えられるし、6戦以降にもつれ込んだケースでも確実に捕手のオプションは増えることになる訳だ。