球体とリズムBACK NUMBER
異例CL、真夏のリスボン短期決戦。
世情に沿った大波乱は連鎖するか。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2020/08/12 11:50
いつものホーム&アウェーではなくリスボンの地で一発勝負。歴史に残るCL、結末は名門の戴冠か、それとも世情を表す大波乱となるのか。
来季以降もCL参加のマンCも充実。
本稿執筆時点の優勝予想オッズ(ウィリアム・ヒルより)で、バイエルンを上回るチームがひとつだけある──先週末に8強入りしたシティだ。
彼らもピッチ外の問題に揺れていたが、ファイナンシャル・フェアプレー違反の疑惑は証拠不十分となり、来季以降もこの大会に出場できることになった。その影響はピッチ上にもポジティブに表れており、以降のプレミアリーグを全勝したあと(FAカップ準決勝ではアーセナルに敗れたものの)、盤石に見えたレアルにも競り勝って、リヨンとの準々決勝に駒を進めた。
ペップ・グアルディオラ監督の戦術的な洞察力と、ケビン・デブライネやベルナルド・シウバらの創造性、ラヒーム・スターリングやガブリエル・ジェズスらの決定力をもってすれば、やや心もとない守備面を補い、クラブの宿願の欧州初制覇に近づけるかもしれない。
こちらも今季CLの出場全試合で得点しているメンフィス・デパイを擁するリヨンは不気味な存在だが、ここを突破すれば、バイエルンかバルセロナとの大一番を迎える。
長い休養明けのPSGか、それとも。
反対の山からは、リーグ・アンが途中で打ち切られてたっぷりと休養できたパリSGが、そのアドバンテージとキリアン・ムバッペやネイマールら豪華な攻撃陣を生かして、初の決勝に到達すると考えるのが妥当か。
いや、あまりに長い休息は試合勘に悪影響があるから、ラウンド16でリバプールに競り勝ったアトレティコがしぶとく歩みを進めるだろう。そんな見方もありそうだ。
それとも一寸先が見えにくいこの現世のように、すべての試合で波乱が起こり、まったく誰も予想しなかったファイナルのカードになるのか。今週から約2週間、真夏のリスボンから目が離せなくなる。