マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフト指名ボーダーの選手たちを
大学の監督が自らプレゼン!3/4
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKokugakuin University
posted2020/05/27 11:30
守備を武器にできるショートはプロでも貴重だ。國學院の小川龍成はプロで早い時期から出場機会を得る姿が想像しやすい選手だ。
MAX何キロだけではプロでは通用しない。
昨年12月、松山でのジャパン候補合宿で紅白戦の先陣をきってマウンドに上がった藤村投手。
登板前はどことなく心細げだったのが、いざ打者と向き合うと、渾身の腕の振りから2イニング1失点。腕利きぞろいの打者相手にもひるむ気配もなく、気迫がボールに乗り移った投球に見えた。
冬の練習でポチャッとしていた体を5キロ絞り、動きにも一段とキレが加わって、春先の実戦では、140キロ前半の速球でずいぶんバットを粉砕したという。
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「ガンのスピードで圧倒するタイプじゃないですからね。チェンジアップとフォークがきちんと沈んで、カットボールはジャストミートされるのを見たことがない。この春は、速球で左打者の胸元を突けるようにもなりました。
カーブのブレーキも効いてきて、これだけ中身の濃い投球ができる左腕もそうはいない。MAX何キロだけで語られても、プロでは働けませんからね」
「1位でもおかしくないって思ってるんですよ」
それに……と井樋監督が話をつないだ。
「人間性がいいですよ。誠実です。言うことにも、行いにもウソがない。名電でエース張ってたヤツなのに、変なプライドが邪魔をしてない。聞く耳を持ってますし、ヤツなりのこだわりはあるはずなんですが、それを決して露骨に表に出さない。
これ見よがしに練習するわけじゃなくてコツコツやるほうなんで、一時は『やる気あるのか』って誤解された時期もあったんです。本人辛かったと思いますが、それでも変わりませんでしたから」
立派ですよ、藤村は。最後に、井樋監督がダメを押した。
「春のオープン戦なんか、先発した試合は全部、終盤まで完封ペースで試合を作って全く危なげなかった。これで詰めの甘さを解消して、アベレージであと2、3キロ速くなったら、ドラフト1位でもおかしくないって思ってるんですよ、私」