JリーグPRESSBACK NUMBER
最強ジュビロがテヘランに抗った日。
アジア制覇の価値はまだ低かった。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/04/30 11:40
中山雅史31歳、名波浩26歳、まさにジュビロの黄金期真っ只中の1999年だった。
ジュビロ黄金時代につながる大きなタイトル。
ジュビロはなおもタイトルを求めていく。帰国したチームは、Jリーグの第1ステージを制覇した。名波がベネツィア(イタリア)へ期限付きした第2ステージは12位に沈むものの、清水とのチャンピオンシップを制して年間王者に輝く。第2ステージ途中に行われたアジアスーパーカップでは、カップウィナーズカップ覇者のアル・イテハド(サウジアラビア)を退けた。アウェイで奪ったゴールが、アジアクラブ選手権に次ぐ国際タイトルにつながった。
中山、藤田、名波らを中心としたジュビロは、ここからJリーグの歴史でも最高と言っていいクオリティへ到達していく。2002年には史上初の両ステージ制覇による完全優勝を達成し、7人もの選手がベストイレブンに選ばれた。
そのうえで言えば、'99年のアジア制覇は改めて評価されるべきだ。未知のアウェイでつかんだ栄冠は日本サッカー史に刻印されるものであり、その後の黄金期の礎となったに違いないからである。