水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
イニエスタの調整力、FC東京の前線。
水沼貴史が挙げるJ1必見のタレント。
posted2020/02/19 11:50
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph by
J.LEAGUE
<ルヴァンカップに続き、いよいよ開幕を迎えるJリーグ。1月中旬から下旬にかけて沖縄、宮崎と各クラブのキャンプ地を回ったという水沼貴史氏に注目すべき選手を挙げてもらった。>
各クラブのキャンプ地に視察に行ってきました。ある程度、固まったエリアに拠点が集まっているので、J1・J2問わず多くのクラブの現状が見ることができましたね。生きの良い選手の発見や新監督が掲げるビジョンを見ることができたので、新シーズンへの期待はより高まります。
開幕前の時点で注目選手を挙げるとすれば、やはりイニエスタではないでしょうか。
私が神戸のキャンプを訪れたのは1月28日。その日、全体練習ではゲームをこなしていましたが、イニエスタは別調整。元日の天皇杯後、故郷スペインへ戻って休暇を取り、その2日前に日本に戻ったばかりだったようですから、当然といえば当然です。
ただ、そこから富士ゼロックススーパーカップまで2週間足らずしかなかった。それなのにゼロックス杯でいつも通り、いや、それ以上に決定的な働きをする。ゼロックス杯で見せたドウグラスへの浮かしたパスなど、ああいうプレーをさらっとされると、思わずワッと興奮しちゃいますよね(笑)。
無理をしない判断と調整の巧さ。
囲まれたら逃げる、かわすドリブルがあるし、パスの技術は衰えがない。90分間フルで動き続けるわけではないですが、無理をしない判断が卓越した技術を生かしている。
タイトなスケジュールの中でしっかりと試合に入るためには体だけでなく、メンタルのケアも大切なんです。ちょっとした体の変化や具合を見ながら、自分が何をすべきか整理して試合に臨めている証拠。それはラ・リーガ、コパ・デル・レイ、CL、そしてスペイン代表と世界のトップレベルで過密日程をこなしてきた経験の差です。
今後は怪我などもあるかもしれませんが、技術だけでなく、調整力にも学ぶべきことは多いかなと思いました。中3日でのACL(2アシスト)も含め、開幕前の2試合でもう凄さを見せつけられた、そんな印象でした。