水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
イニエスタの調整力、FC東京の前線。
水沼貴史が挙げるJ1必見のタレント。
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/02/19 11:50
ACLですでに圧巻のプレーを見せているイニエスタ。Jリーグの舞台でもその魔法を何度でも見たい。
古橋、小川、ドウグラスが生きる。
また加入当初と比べて、イニエスタ自身が味方に指示を出すシーンを多く見るようになりました。
自分の要求を周囲がわかってきているという感覚は彼の中にもあるでしょう。それに今季のプレーぶりを見ると、パスの受け手が増えたことで一層存在感を増している印象です。昨季から活躍している古橋(亨梧)、ACLで存在感を見せた小川(慶治朗)、そしてドウグラス。
ポドルスキとビジャ、ウェリントンがチームを去ったものの、彼の前に3~4人動いてボールを受けられる選手がいることは大きい。イニエスタにボールが渡ったとき、前にいる選手たちの動き出しに注目してみても楽しめると思います。
山口蛍、西大伍、酒井高徳とここ最近の日本人選手の補強も的を射ていますし、先の2試合ですでにチームは8得点。イニエスタを中心とした攻撃サッカーを展開する神戸に要注目です。
横浜FCで注目の松尾、カズ&俊輔。
<その神戸と開幕戦で対戦するのは、昇格組の横浜FCだ。J2では体験できないであろうワールドクラスを体感することで「特に若手選手は度肝を抜かれると思う」と水沼氏は言う。ただ、その分、期待も大きいようだ。>
キャンプでいい選手だなと思ったのは左ワイドのポジションにいる松尾佑介。昨季から特別指定選手としてJ2のピッチに立っていましたが、とにかく“やたら速い”。相手をだますようなフェイクを入れながら、一瞬止まってググっとスピードを上げることができるアタッカー。つまり、緩急の使い分けがうまいんです。昨季MVPの仲川輝人や遠藤渓太(ともに横浜F・マリノス)に近いタイプと言えます。
アップダウンを繰り返すハードワークもさることながら、仕掛けてフィニッシュまでもっていける選手は現代サッカーでも重宝されるタイプですよね。
ただ、松尾に関しては初のJ1の舞台。チームとしても相手にポゼッションで上回られる試合展開が増えるはず。
数少ないチャンスを生かすような場面で、ドリブルだけではなく、前に飛び出していくフリーランニングができるか。彼としても1つステージが上がる重要なシーズンになると思います。逆サイドにいる中山(克広)とのサイド攻撃がJ1でも通用するか楽しみですね。
横浜FCで言えばキャンプ中、丁寧にアイシングしていたカズと少し話をする機会がありました。もうすぐ53歳、さすがに体はきついようですが、まだサッカーがうまくなりたいと向上心が尽きることはありません。
(中村)俊輔もカズに同じことを話していたようですから、彼らもJ1へのモチベーションは高い。大ベテランたちの姿勢を近くで感じながら、若い選手たちがどんな躍動を見せるか。昇格組として厳しいシーズンが予想されますが、リーグ戦を通して存在感を示してほしいところです。