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リバプールでの出場試合、得点……。
南野拓実、どれほどの数字なら合格?
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byLiverpool FC/ Getty Images
posted2020/01/01 08:00
2019年12月31日、南野はリバプールでの初練習に臨んだ。サラーらとてつもなく厚い選手層のなかで存在感を発揮できるか。
オリジはここ一番で大仕事をする印象。
オリジはフィルミーノの1季前の加入で、ヴォルフスブルクへの期限付き移籍を経験している。ただし今季、開幕戦で先発してゴールを決めただけでなく、エバートンとのマージーサイドダービーで2ゴールを決めている。
そして昨季はCL準決勝バルセロナ戦で値千金のゴールを決めるなど、ここ一番で大仕事をする印象が強い。
一方のスイス代表の実力者シャキリは昨シーズンこそ出場機会が多かった。しかし今シーズンは9月から10月にかけてふくらはぎを負傷して戦線離脱。12月はリーグ戦2試合に先発したが正念場と言える。
ザルツブルク時代に南野とチームメイトだったケイタもララーナ、チェンバレンとの争いを強いられており、ここでもやはりリバプールの選手層が分厚いことを実感する。
なお今季ここまで、3人のリーグ戦でのスタメン率はオリジが24%、シャキリが12%、ケイタが6%。3トップの壁が分厚い中で、オリジは4試合に1回は先発チャンスをもらえている。
プレミアでオリジくらいの先発機会を得られれば、相当認められていることになるだろう。
15試合3得点2アシスト、出場時間600~700分。
強力3トップと多士済々のMFが居並び、なおかつ冬加入の1年目――。
各選手の数字を踏まえると、南野は残りシーズン半分でリーグ戦やCL、FA杯で「15試合3得点2アシスト、出場時間600~700分」くらいなら、十分活躍したといえそうだ。もちろん、メガクラブとの直接対決やタイトルマッチで大仕事をすれば、さらにプラスの印象を与えることになる。
1年目から圧倒的な結果を残せば、聖地アンフィールドに駆けつけるサポーターのアイドルになるのは間違いない。
ただそうでなくても熱血かつ聡明なクロップ監督、そして熱くもファミリー的な雰囲気があるファンなら、2019-20シーズンは「順応期間」と見てくれるはず。
もちろん南野はプロのフットボーラーである。「前線の便利屋」で終わるつもりは毛頭ないだろう。だからこそぜひ気負うことなく、それと同時に野心を持って――世界最強クラブでの冒険を思う存分エンジョイしてほしい。