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ガットゥーゾが混乱ナポリを再建中。
選手の魂に訴える“闘犬”の指導術。
posted2019/12/27 11:15
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph by
Getty Images
「プレジデンテ(会長)はスタジアムに来ていないのでは?」
2019年12月10日、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)のグループステージ第6節、ナポリvsヘンク戦後の話。スタディオ・サン・パオロのミックスゾーンで選手やクラブ関係者の通過を待つ記者たちの間で、そんな話題が上がった。
アウレリオ・デラウレンティス会長の姿が見えなかったのだ。4-0で試合が終了したときにはすでにスタジアムを離れ、クラブ幹部と連れ立ってナポリ市内の高級ホテルに向かっていたのだという。
会長の動向が注目されたのは、「アンチェロッティ監督が解任されるのではないか」という噂が立っていたからだ。CLのグループステージでは同組のリバプールをホームで破り、よほどの事故が起こらなければ突破は固い状態だった。
ただ、問題はリーグ戦だ。8節のベローナ戦を最後にまったく勝てない大不振……。しかも14節では冨安健洋が所属するボローニャにホームで敗れ、その次もウディネーゼ相手にドロー決着。優勝戦線はおろか、CL出場権を手にできる4位からも大きく離される状態になっていた。
急転直下のアンチェロッティ解任。
ヘンクに敗れるようなことがあれば解任は確実な状況。だが、試合は4-0で終了した。スタンドの観客から温かい拍手を贈られたアンチェロッティ監督は伊『スカイ・スポーツ』に対し「今まで私から辞任を申し出たことはなかったし、今後もない。明日、会長と会って今後について話し合う」と語っていた。
ところが、なんとその日の夜に解任が発表されたのだ。
アンチェロッティ監督とデラウレンティス会長の話し合いは試合後に行われ、その席で解任が通告されたという。