プロ野球亭日乗BACK NUMBER
カープが何としても生き残るため、
緒方監督に迫られる“決断”とは。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2018/11/02 17:30
柳田悠岐のサヨナラ本塁打を見つめる中崎翔太。まさに土壇場における、雌雄を決する一球となった。
原監督が下した守護神交代の真意。
「健太朗がいなかったら、我々はこの舞台に立てなかったかもしれない。しかし最後はいま、最も信頼できる投手をマウンドに送った。日本シリーズとはそういうものなんです。何が起こるか分からないですから」
原監督はこのときの守護神交代の決断を、こう振り返っている。
中崎が浴びたサヨナラ弾の内容をどう見るかだろう。
さらにはこのシリーズでのフランスアと中崎のソフトバンク打線との兼ね合いを、どう判断するのかということだ。
1つだけフランスアに利点があるとすれば、8月にはプロ野球タイ記録の月間18試合登板を達成し、その中で防御率0.51をマークしたタフネスぶりだ。
回またぎもできるし、ある程度の連投が利くことは分かっている。そう考えれば8回から2イニングをフランスアに任せるという選択は、もちろん指揮官の頭にあるはずなのだ。多少の酷使にも耐えられるこの左腕をどう有効に活用できるか。それが広島の逆転日本一への扉を開く、1つのカギになることは間違いない。
いつもと違う野球になるか!?
負ければ終戦。広島が勝ち続けて逆転日本一を手にするとしても、残りは3試合である。
好調な4番・鈴木誠也外野手に加えて、第5戦ではようやく丸佳浩外野手にも一発が出て復調の兆しが見えてきた。
第2戦で好投したクリス・ジョンソン投手が先発する第6戦を凌げば、第7戦からは大瀬良もブルペンでリリーフ待機できる。投手陣も総力戦を挑めるのだ。
だから何がなんでも生き残るために第6戦を取らなければならない。そこでは普段とは違う野球が、広島の活路を開くはずである。