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カープが何としても生き残るため、
緒方監督に迫られる“決断”とは。

posted2018/11/02 17:30

 
カープが何としても生き残るため、緒方監督に迫られる“決断”とは。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

柳田悠岐のサヨナラ本塁打を見つめる中崎翔太。まさに土壇場における、雌雄を決する一球となった。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Naoya Sanuki

 激闘4時間25分。4対4の同点で今シリーズ2度目の延長戦にもつれこんだ、直後の10回裏ソフトバンクの攻撃だ。

 広島の守護神・中崎翔太投手がソフトバンクの4番・柳田悠岐外野手に投じた2球目だった。

「打った瞬間は『あっ、折れた』と思ったけど、歓声で『えっ』です。そしたらテラス席に入っていた。歓声がボールを運んでくれた」

 折れたバットで強引に運んだサヨナラアーチ。連続日本一に王手をかける一発に、打った本人の柳田は興奮が隠せない。

 継投の勝負となったシリーズ第5戦。負ければ後がなくなる広島・緒方孝市監督も、シーズン中には見せない早め早めの投手リレーで勝負をかけた。

 1点リードした5回に先発の大瀬良大地投手がピンチを招くと、2番手のジョニー・ヘルウェグ投手にスイッチ。6回から一岡竜司投手を投入したが、2死から今宮健太内野手に二塁打を許すと、すかさずこのシリーズのキーマンとなるサウスポーのセットアッパー、ヘロニモ・フランスア投手を投入した。

 ここから回またぎのフランスアで8回までしのいで、9回に守護神・中崎投入という青写真。しかし、誤算はフランスアが7回に明石健志内野手の一発を浴びて同点に追いつかれてしまったことだった。 

迫られる、緒方監督の決断とは?

 それでも緒方監督は延長戦を睨んでフランスアを9回のマウンドに立たせたが、内野安打と送りバントで1死二塁となったところで中崎がマウンドに。この回は後続を断ったが、回またぎの10回に先頭打者だった柳田の一発を食らった。

「甘かったです。ど真ん中でした」

 その1球を振り返った右腕だが、絶対守護神が浴びた一撃は、チームにとってのダメージが重い。

「ウチとしては手を尽くしたから。あと(6戦以降)は注ぎ込んでいくしかない」

 投手陣を預かる畝龍実投手コーチが、試合後にこう絞り出したように、広島に戻った6戦以降は投手陣総動員で、明日なき戦いを演じるしかなくなった。

 そしてもう1つ、その総動員の中で緒方監督が迫られる決断がある。

 それはこの日、サヨナラ弾を食らった中崎を、そのまま守護神で起用するのか。

 それとも明石の一発は浴びたが、ソフトバンク打線が攻略に手こずるフランスアをクローザーに持ってくるのかということだ。

【次ページ】 守護神が守護神でなくなる時。

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