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オシムの言葉で渡欧した日本人医師。
最先端のスポーツ医学に触れた衝撃。
 

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手嶋真彦

手嶋真彦Masahiko Tejima

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photograph byGetty Images

posted2018/07/28 17:00

オシムの言葉で渡欧した日本人医師。最先端のスポーツ医学に触れた衝撃。<Number Web> photograph by Getty Images

大迫勇也のような上手くて強い選手を。日本サッカーにとって今後のポイントだが、齋田良知ドクターは欧州の地で見識を得ようとしている。

「全員が必ず成長する」日本に。

 問題は時間だ。データの蓄積には20年、30年という年月が必要となる。それではヨーロッパとの差がなかなか埋まらない。

 これは筆者の楽観にすぎないが、ショートカットも不可能ではないだろう。意識の持ち方なら、一瞬で変えられる。思い出していただきたい。イタリアのサッカー選手は痛み止めを飲まない。原因を突き止めて、取り除こうとする。

 そうした意識改革も一筋縄ではいかないはずだ。痛みの原因を突き止めようにも、齋田のようなスポーツドクターが全国どこにでもいるわけではなく、痛みを取り除くリハビリも自在に可能なわけではないだろう。痛み止めの弊害を分かっていながら、例えばスポーツ推薦で入学したなどの事情もあるかもしれない。

 予防医学をパフォーマンスの向上や個性の多様化につなげる齋田の取り組みがやがて軌道に乗れば、「たまたま才能のある子がいて、たまたま成長するのではなく、全員が必ず成長する」(齋田)日本になっていくだろう。大迫勇也のような“上手くて強い”選手となる資質を持った人材もたまたまではなくコンスタントに現れ、日本代表の戦力となる。

 そんな未来をただ待つのではなく、齋田の取り組みを通して得られた重要な知見を共有するための、そして制度改革や意識改革を促すような発信を、これからも継続していく所存だ。

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