サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
代表の攻撃に閉塞感が漂う理由は?
必要なのは西野監督が方向を示す事。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/06/11 17:40
時間がないのはわかりきっていたことだ。その中でいかにメンバーの長所を組み合わせるかが監督の手腕にかかる。
大迫もサイドチェンジの使い方に苦悩。
ワイドにポジションをとることで、ゴール前を固めた相手DFを動かし、ドリブルで仕掛けていく……。そういう持ち味のある乾というカードを切ったとき、監督の頭のなかに、「ピッチをワイドに使う」という絵は描かれていたのだろうか?
ただ単純に先発選手に疲労が見えたから交代したのだとしたら、乾にかけた「ボールに触れろ」という言葉は、指示ではなく、単なる励ましみたいなものでしかない。
大迫は攻撃の課題について次のような言葉で表現した。
「どういうボールがほしいとか、どういうふうに自分を活かしてほしいかというところまでには、正直たどり着かなかった。サイドに入ったときにもっと、センタリングをあげてもいいと思う。そこでこねてこねて取られてというのが多かったから。
そこはみんなにも伝えましたけど。サイドチェンジに入った瞬間に攻撃のスイッチを入れることをもっと意識しないといけない」
本田「早くほしいという議論は折り合わない」
3人目の動きや連動性などのコンビネーションの質を上げていくことに重点をおくのが本田圭佑だ。しかし攻撃陣の選手のなかには、もっと速い攻撃を望む声もある。そのギャップについて問われた本田は次のように答えた。
「そういう話は選手から直接聞いている。それをどう詰めるかという作業は場面によると思います。だから、早く(ボールが)ほしいという議論は、たとえば岡崎とは10年くらい代表で話をしているけれど、一切折り合うことがない。岡崎はボールをもらいたいわけですよ。フォワードはそういうポジションだから」
本田が望む連動性を高めることの必要性は言うまでもないことだ。しかし、準備期間は限られている。
「ここからのフェーズは徐々にシビアな会話と、自信の融合がものすごく重要かなと思います」という彼の言葉ももっともだ。けれど、今現在チームが抱えている危機感は、精神論だけでは解決しない。課題解消のために現実と向き合い、より具体的かつ論理的に解決策を見出していくべきだと思う。