炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープは3連覇&日本一へ団結する。
10ゲーム差の「苦しい年」を越えて。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/01/02 07:00
昨季から持ち越す形での日本一の夢は再び破れた……だからこそ、2018年の広島カープは、さらに団結するはずだ!
「うちの一番いいところはチーム一丸」
豊富な資金力がある球団とは違い、広島はスカウティング力と育成力でチーム力を上げなければいけない。限られた戦力を最大限に生かすためには、「1+1」を2でなく、「1+1」を3にも、4にもしなければいけない。「個」の集合体ではない「組織力」が今の広島にはある。
新選手会長を務める會澤翼も「うちの一番いいところはチーム一丸」と胸を張る。
優勝した'16年シーズン終了後の11月に主力18人が参加した湯布院リハビリキャンプは、例年になく全選手で過ごす時間が長かったと宿舎担当者が明かす。
「あれだけみんなで連日のように食事し、盛り上がったことはなかったんじゃないでしょうか」
最終夜は参加した全選手、全スタッフで露天風呂に入った。ベテランの新井貴浩も若い鈴木誠也も、提案者の會澤も、みんな笑顔だったという。
補強で強くなるのではなく、選手の成長で強くなる球団。
新シーズンへ向けて戦力補強を進める他球団を横目に、広島は目立った補強がない。ドラフト会議も高校生を中心とした素材重視の指名であり、新外国人獲得も先発中継ぎでレオネル・カンポス1人という状況だ。
ただ'17年も大きな戦力補強はなかった。新人の加藤拓也と床田寛樹は開幕直後にそれぞれ1勝したものの、不調とケガで離脱した。新加入した外国人選手のライアン・ブレイシアやラミロ・ペーニャもチームの力になり切れたとは言い難い。
打線は選手個々が着実に成長を遂げ、起爆剤となったのは育成契約からはい上がったドミニカカープアカデミー出身のサビエル・バティスタだった。中継ぎでフル回転してブルペン陣を支えたのも復調した中田廉の存在が大きかった。