フランス・フットボール通信BACK NUMBER
バロンドールに対しモウリーニョ激白。
「勝つのは個人じゃない、チームだ」
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byJean-Francois Robert/L'Equipe
posted2017/12/19 17:00
『フランス・フットボール』誌が掲載したモウリーニョの写真。オデコのマークは合成か!?
「3つの異なる成長過程を経て今日の彼が出来あがった」
――彼の進歩をどう見ていますか?
「クリスティアーノは私よりも先にイングランドに来た。とはいえポルトガルより高いレベルでのリーグでデビューを控えていた若手に過ぎず、才能は疑いないがまだ覚醒していなかった。サー・アレックス・ファーガソンは、そこを良く理解していて、その後とてもうまくコントロールしたのだと思う。すべての試合に出場したわけではなく、ときにベンチスタートだったことからも、それは分かるしね。選手しても人間としても、彼はまだ教育課程にあった。
すでに述べたように、当時の彼は純粋なウィングだった。3つの異なる成長過程を経て今日の彼が出来あがったのだと思う。
とりわけレアルで彼は戦術的な面で進化を見せはじめ、マンチェスターでのサイドアタッカーと今日のセンターフォワードの間のハイブリッドなポジションを取るようになった。
彼は、サッカー界で最初にモダンなタイプのウィングになったわけだ。換言すれば、クロスを送るためにサイドを活用し、外から得点のためのポジションに侵入してくるタイプだ。ジョージ・ベストやライアン・ギグスといったウィンガー――サイドをスピード豊かなドリブルで突破し、クロスをあげる選手たちのプレーを真似していたようにも思う。
彼に対抗する術としては、もちろん直接止めることを試みるべきだが……同時にスペースを消してプレーさせないことも有効だった。というのも彼はそのスピードと創造力で相手のバランスを崩していたわけだからね」
「すべての試合で彼がチームの根幹だった」
――あなたは彼を特別な選手と見なして、レアルでもそのように扱いましたか?
「“われわれにとって必要不可欠”という意味において、確かに彼は特別だった。史上最強のバルセロナを破ってリーガのタイトルを勝ち取る(2012年)ために、彼のような選手は絶対的に必要だったからね。常に必要としていたから、休息を与えることもできなかった。ゴールゲッターでありまた攻撃のリーダーでもあり、すべての試合で彼がチームの根幹だったわけだから。
ただ私は、一度として彼に特権的な地位を与えなかった。他の選手と同じように接したし、特別扱いは何もなかった」