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岡崎慎司は現地でも絶賛なのに……。
レスターで6ゴール、謎の控え扱い。

posted2017/12/21 11:00

 
岡崎慎司は現地でも絶賛なのに……。レスターで6ゴール、謎の控え扱い。<Number Web> photograph by Getty Images

果敢にチェイスし、ゴール前での嗅覚も一級品。岡崎こそイングランドで重宝されるタイプのFWだと思うのだが……。

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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「パッケージに嘘はない」。英国ではお馴染みの、品質と信頼性を強調したペンキ会社の宣伝文句だ。もしも国内で岡崎慎司のCMを作るとなれば、同じキャッチフレーズが採用されるかもしれない。

 ペンキの色は、レスターと日本代表に共通するチームカラーの青。丸い缶の蓋には、岡崎の人懐っこい笑顔。唯一の懸念は、側面に入る商品説明が限られてしまいそうなことか。

 攻守に献身的なパフォーマンスが、この国でも広く認められていること自体は歓迎できる。しかしながら、実際の岡崎はゴールへの嗅覚をも兼備したストライカーである。「ハードワーカー」という特長だけが強調される状況は、本人のデメリットにもなりかねない。

 例えば、レスターが金星を挙げた第14節トッテナム戦後の報道である。この日のレスターは、4対6の割合でボールを支配されてもカウンターが冴え、ジェイミー・バーディーとリヤド・マフレズがネットを揺らして勝利した。

カウンターを促進し、ボックス内で存在感があるのに。

 2シーズン前の奇跡のプレミア優勝を彷彿とさせる展開。国内メディアから「ビンテージ風」とその戦いぶりを称賛されたが、岡崎に対する採点は芳しくなかった。レスター攻撃陣の中では最低の10点満点中7点が多く、大衆紙の1つである『ミラー』紙の寸評には、「お察しの通り、チームのために力を振り絞る働きぶり」という決まり文句だった。

 ただ実際のパフォーマンスは、それ以上だった。レスターの十八番であるカウンターが機能し、バーディーとマフレズがゴールを奪えたのは岡崎がいたからだ。

 中盤とのリンク役となってカウンターの速度を高め、自らもボックス内に顔を出して相手ゴールへの脅威となる。プレミアリーグで自己通算100得点目を決めたバーディーも「そろそろ時期だった」とコメントしていたほど、岡崎がレギュラーに返り咲いてよい時期かに思われた。

 だが、新たに招聘したクロード・ピュエル体制下で、岡崎に先発機会が増えたわけではない。バーディーのサポート役としてマフレズの次に序列が高いのは、岡崎ではなくデマーレイ・グレイ。本来ウインガーのマルク・オルブライトンが、トップ下で起用された試合もある。

【次ページ】 バーディーが生きる2トップの相棒は、岡崎が最適。

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