リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
テレビ最優先で真夜中に試合開始!?
観客軽視のリーガが抱える裏事情。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byUniphoto Press
posted2012/08/23 10:30
現地時間午後11時、日本時間早朝6時キックオフとなったレバンテ対アトレティコ・マドリー。写真は同点ゴールを挙げたアトレティコのトルコ代表MFアルダ。
リーガの2012-2013シーズンが始まった。
選手登録期間終了まで約10日を残しての開幕ということで、各クラブのスポーツディレクターは普段以上に真剣な眼差しをピッチと自軍のベンチに送っていたことだろう。このメンバーで長いシーズン、少なくとも今年の終わりまで戦っていけるのか、判断しなければならないからだ。
先月のこの欄に書いたとおり、今年はどこも補強にお金をかけることを渋ってきた。こういうときは移籍市場が閉じる間際、駆け込みで買い物をするクラブがたくさん出てくる。誰がどこへ動くのか、もう少し楽しめそうだ。
ところで、第1節をテレビ観戦した人の中に、「今回の放送開始時間はおかしい」と思った人はいなかっただろうか。
リーガのキックオフは通常、最も遅い試合で現地22時。サマータイム期間中なので、日本では明け方の5時である。
しかし、今回は土曜日開催のマジョルカ対エスパニョールと日曜日開催のレバンテ対アトレティコ・マドリーが、それぞれ日本時間6時に始まった(月曜日のサラゴサ対バジャドリーも同時刻だったが日本ではテレビ中継なし)。
23時キックオフ、翌日深夜1時試合終了は前代未聞。
つまり、現地のキックオフは23時。宵っ張りのスペイン人ではあるけれど、スポーツの試合開始がこの時間というのはさすがに遅い。
'03年9月3日の水曜日、ロナウジーニョのカンプノウデビューとなったバルサ対セビージャは0時5分(2日の24時5分)に始まったが、あれは主力がそれぞれの国の代表に持って行かれる前に試合を済ませたかったバルサが「3日開催」を守るために意地になってやったこと。最初で最後の椿事である。
だが、今回はリーガが定めた公式戦だ。
妙な時間をあてがわれたクラブは当然納得がいかず、説明を求めた。真夜中の25時に終わるような試合をしていては選手のコンディション調整が難しくなるし、そもそもホーム側のスタジアム入場者数もまったく期待できなくなるからだ。