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イブラ、ネイマールが一目置く男、
カバーニがPSGで布教する“謙虚さ”。 

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photograph byAlexis Reau/L'equipe

posted2017/11/06 17:00

イブラ、ネイマールが一目置く男、カバーニがPSGで布教する“謙虚さ”。<Number Web> photograph by Alexis Reau/L'equipe

カバーニが大事にしている“謙虚さ”。ピッチから離れた彼は、非常に穏やかで思慮深く、家族思いの男であった。

数時間で明暗が分かれたオランダ移籍の失敗。

「ある朝、朝食をとっているときだった。

 あるイタリア人代理人(ピエルパオロ・トリウルジ)が一緒に働かないかとわれわれに言ってきた。彼はイタリアで、私はウルグアイで。彼はFIFAのライセンスを持っていたから、私も悪くないと思って承諾した。

 するとその日の午後に、ドイツで仕事をしているというウクライナ人の代理人がホテルに現われて私に向かってこう言った。

『私と一緒に行こう。エディ(カバーニの愛称)をヨーロッパに連れていきたいんだ。オランダのクラブが欲しがっている』と。

 クラブとの話はほとんどついていて、あとは私がウンというかどうかだった。

 彼は私についての将来のプランまでも語ってくれた。

 まずエールディビジで実績を積んで、それからイングランドへの移籍を考える。一歩ずつ着実に成長していけばいい、と。

 私はこう答えた。『あと数時間早く話を聞いていたらオランダに行けたのに。今はもう無理だ』と」(ルイス・カルカテラ、カバーニの所有権の50%を保持する代理人)

カバーニが信頼した、儲けを考えない代理人。

 元ウルグアイ代表でセリエAでも活躍したダニエル・フォンセカは、現役引退後に代理人業をしていた。その担当していた選手のうちの1人がカバーニだったが、暫く前から代理人を解任されていた。それでも彼は諦めずに、ある夏にはディナモ・キエフへ移籍の話を持ち込んできた。

「実現すればダヌビオに100万ユーロ以上の利益をもたらす凄い契約だった」と、その後カバーニの代理人となるアレックス・パパザンは語っている。

 カバーニと関わることでひと儲けをいっさい考えなかったパパザンは、今もカバーニのいい友人である。彼は言う。

「私の方が年上だから、彼がよくアドバイスを求めてきたんだ。

『君ならどれがいいと思うか?』と。

 彼は家族のことを考えねばならなかった。彼の決断が、家族全員の運命を変えてしまうからだ。他方で彼は、とりわけキエフに行くのは時期尚早だと考えていた。適応が簡単ではないと思ったからだ。

 とても難しい選択で、エディにとっては苦しい時期だった」

【次ページ】 結局、レアルに行ったのはイグアイン。

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