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イブラ、ネイマールが一目置く男、
カバーニがPSGで布教する“謙虚さ”。
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph byAlexis Reau/L'equipe
posted2017/11/06 17:00
カバーニが大事にしている“謙虚さ”。ピッチから離れた彼は、非常に穏やかで思慮深く、家族思いの男であった。
ラスベガスよりも、静かな日々を選ぶ性格。
2016年4月、リーグカップ決勝でリールを破った後、何人かの選手(イブラヒモビッチやパストーレ、ベッラッティ、シリグなどなど)が連れ立ってラスベガスへと旅立った。
その「傲慢さ」をあちこちで批判されたパリの選手たちは、続くリーグ戦でレンヌを4対0と破り騒音を鎮静化させた。翌日の早朝、マタドールは週末のバカンスを過ごすためにプライベートジェットの待つ空港へと向かった。
「行き先は、ベ……」
インスタグラムに彼は皮肉を込めてそうつぶやいたが、それはベガスではなくベレスというマケドニアの小さな都市だった。
「素晴らしかった。僕らは自然に囲まれて、美しい風景の中で最高の週末を過ごした。選手の幾人かは飲んで騒いだり、海岸まで行ってリラックスしていたけど、エディは木々や鳥たち、湖に囲まれて静かに過ごしていた」(ワルテル・グリエルモネ、異母兄弟)
バルサ戦後のロッカールームでのメッセージ。
「われわれは朝早くカンデロージュ(PSGの練習場)に到着した。ロッカールームの扉を開けると、そこには大きく“HUMILITe(謙虚)”と書かれていた。やがてやって来た選手たちがそれを見つけ『いったい誰が書いたんだ?』と騒然としていた。だけど、結局誰かはわからずじまいだったようだ」
実はその前夜、ロッカールームに最後までカバーニが残っていた。
「エディはペンを取ると、われわれの前で椅子に乗っておもむろに“謙虚”という文字を書いた。壁にはすでに幾つかの言葉が書かれていた。
野心、勝利、エレガンス……。
だが“謙虚”はまだなかったんだ。彼は何も言わなかったが、それこそが大事だと考えたのだろう」(ロマン・グルンステイン、パリ・サンジェルマンの前経理副部長)