酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
サファテと松井裕樹の成績がエグい。
50セーブに0点台、でも実は対照的。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2017/09/14 07:00
高校時代、甲子園での1試合奪三振記録で名を馳せた松井裕樹。今季はクローザーとして強烈なインパクトを放っている。
1イニング平均14.6球と省エネ投球のサファテ。
最後に球数だ。先発投手の場合、1イニング15球が目安だとされるが、救援投手は1イニングに集中するため球数が増えがちになる。しかしサファテの1イニング14.6球は先発投手と比べても遜色がない省エネ投球だ。
それに比べて松井は四球や無駄球が多いぶんだけ17.1球を要していて、いくら若いとはいえスタミナが心配になる。事実、今季の松井は3週間ほど戦線離脱した。若いとはいえ、もう少し効率を考える必要がある。
サファテは、今年の貢献度からすれば、MVPの最有力候補だ。一方で、タイトル獲得は難しそうな松井裕は、そこまで注目されることなくシーズンを終えることになるだろう。
だが、記録的に見れば両者は、ともに球史に残る。
2人のクローザーには、異なる「抑えの美学」があるように思う。
江夏豊が開拓し、佐々木主浩、高津臣吾、岩瀬仁紀、藤川球児などの先人を経て進化してきた日本の救援投手は、サファテ、松井裕樹という二人の逸材によって、新しいステージに入ったのではないだろうか。