ズケズケ行き過ぎると、選手も身構える。

――それぞれの選手への距離がとても近いことが印象的でしたが、特に気をつけた点はありましたか？

「やはり話を聞かせてもらう側の立場として、近くでカメラを回すタイミングなどは非常に気を使いました。ズケズケと行きすぎるのは、やはり選手側にもいい印象を与えませんよね。DeNAに密着した時も、1年目は中畑さん（清・当時監督）を含めて、最初は相当構えられた記憶がありますから（笑）。とはいえ選手側に『ちゃんとしたものを撮ってくれているんだ』とわかってもらってからはお互いの距離感もつかめましたし、それを経験していた筒香（嘉智）選手が侍ジャパンにいたのは、少し安心できる部分でした。

　また私は以前から侍ジャパンに帯同することもありましたので、多分私の顔と名前を選手たちが覚えてくれていたのも大きかったと思います。ただWBCというものすごいプレッシャーの中で世界一を目指すこともあって、最初はどれくらいの距離感を取るか難しいなと感じることもありました」

――それでも、時には一歩踏み込む瞬間があったかと思います。

「それは1次ラウンド初戦、キューバ戦でしたね。あの試合は打撃戦になりましたが、打った選手に対しては、グッと近づいていく勇気を持ちました。 キューバ戦を勝ったことで選手たちの気持ちも乗ってきて、自然と喋ってくれるようになってきたのはありますね」

何とか菅野の迫力あるボールを撮りたくて……。

――筒香選手の打撃練習、そして牧田（和久）選手のクイックモーションやアンダースローから繰り出されるボールのキレなど、グラウンドレベルだからこそわかる迫力がありますよね。

「そうですね。そのほかにも菅野（智之）選手の投球練習のシーンがあるんですが、実は1球ずつ、捕手として受けていた小林選手の方へ徐々に近づいていっているんですよ。小林選手としては『ジワジワ寄ってきてる……』と思ったかもしれませんね（笑）」

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