則本へDVDを渡したときに伝えた、ある言葉。

――オランダ戦の9回、同点に追いつかれた則本（昂大）選手の悔しそうな表情も心に残ります。

「彼はプレミア12でも悔しい思いを味わっていますからね。WBCでのリベンジを誓っていたのに、また打たれてしまった。その無念さは痛いほどわかります。ただその悔しさを反骨心に変えて、今シーズンは絶好調ですからね。実は交流戦期間中、侍ジャパンのメンバー全員にWBCの映像を渡しに行ったんです。みんな喜んでくれましたね。選手の中にも『自分はどう映っているんだろう？』というのはあったでしょうからね」

――則本選手に渡した際は……。

「『えっ、僕が活躍しているシーンってありますか？』と言っていたんですが『これは日本野球の歴史として残っていくものなんだ。ぜひ持って帰って欲しい』と伝えたら『……見ます！』と言ってくれたことが嬉しかったですね。実際に見たら悔しい気分がぶり返すかもしれませんけど、あの大会の経験が自分を奮い立たせるきっかけになればと思います。今季、不調で苦しんでいる選手も何かを取り戻すきっかけになればと願っています」

――ちなみに、三木さんにとって最も印象的な出来事は？

「具体的には直接見てもらいたいのですが、少し環境が悪い中でカメラのピントも十分合っていない状況もありました。そこで"予想外"のことがあったんですが、自分の中でスイッチが入りました。『これを残せなければ、意味がなくなってしまう！』と必死でしたよ」

――最後に、WBCから数カ月経ったタイミングで、ファンの方に今回の映画をどう見てもらいたいでしょうか？

「2次ラウンドまでの6連勝は簡単に勝ち上がったわけではなく、世界一奪還に向けて様々な人がアシストした結果だった。それを見てほしいと思います。様々な視点から野球に触れてもらうことで"選手はこういうことを考えているんだ"と知っていただき、次の応援に繋げていってほしいですね」