スポーツ百珍BACK NUMBER
筒香、菊池、小林……WBCの真実。
侍ジャパン100時間密着取材の告白。
posted2017/06/26 07:00
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
Nanae Suzuki
「小林、覚醒したよ!」
その時日本代表のベンチは、東京ドームを埋めたファン、そしてテレビ越しに熱戦を見つめた人々と同じく、驚いていた。
2017年3月10日、WBC1次ラウンド中国戦。日本が1点を先制して迎えた2回裏、小林誠司がレフトスタンドに2ラン本塁打を放つ。打撃面では期待されていなかった背番号22が“ラッキーボーイ”となった瞬間、チームメイトもまた、衝撃を受けていた――。
プロ野球開幕前の野球界を熱くしたWBCでの激戦。グラウンドの中でも外でも、世界一を目指して戦った侍ジャパンの日々に密着した映画『あの日、侍がいたグラウンド』(製作:J SPORTS)が、7月1日から1週間限定で公開される。
つねにカメラマンとしてチームとともに時間を過ごし、野球中継では見えない側面を記録した三木慎太郎氏(J SPORTSエクゼクティブプロデューサー)が、誰も知らない侍ジャパンの一面を明かしてくれた。
朝8時半にはスタンバイ、練習後には編集作業の毎日。
――WBCの期間中、撮影時間はどのくらいだったのですか?
「合計で100時間を超えましたね。その中から要素を厳選し、100分に収めました。そのうちの約7割は、野球中継では決して見られない独自映像になっています」
――侍ジャパンに帯同するカメラマン兼監督って、どういうスケジュールで毎日動くんでしょう。
「朝9時に練習開始だとしたら、集合30分前の8時半にはスタンバイして待っていました。練習が終わって帰る時も選手たちを追いますし、宿舎でも日々色々なことが起こります。そして1日が終わったら『このシーンは使えるな』というのを抜粋しておかないと、後々大変になってしまうので、編集作業も同時進行でした。これが毎日続くので、ヘトヘトになりました(笑)」