“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
伝説のプレーが生まれる大会――。
全国高校サッカー、この選手を見よ!
posted2015/12/29 11:30
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
今大会はどのような大会になるのだろうか。強烈なタレントあり、個性的なチームあり、熱戦を約束する好カードあり。見所満載の今回の選手権を個人的な注目ポイントを挙げながら展望していこうと思う。
ここ数年、「優勝はどこですか?」と聞かれることが多いが、年々予想が難しくなっている。
それはJユースの台頭や、地方のチームのグラウンドや寮などの環境の良化、新幹線や高速道路などの交通手段の発達もあり、全国各地への戦力分散が加速しているからだ。かつての市立船橋や国見のように、レギュラーの半分以上がプロに進むような「マンモスチーム」が生まれ難くなっていることも背景にある。
加えてプリンスリーグやプレミアリーグ、各都道府県リーグなどリーグ戦文化がユース世代で浸透して来た中で、一発勝負のトーナメント経験を持つチームが増え、いくら強豪と言えど、足下をすくわれてしまうことが多くなったのも理由の1つだ。
今年も戦力的に全国へタレントが散らばり、どのチームも魅力あるチームに仕上がっている。だが、この中で「このトーナメントを何度も繰り返した時、優勝する回数が多いチーム」という発想で、優勝候補を挙げるならば、市立船橋、東福岡、青森山田、大津の4チームだろう。
攻守、上級生・下級生すべて穴の無い市立船橋。
市立船橋の総合力は非常に高い。
ベガルタ仙台入団内定のボランチ・椎橋慧也、モンテディオ山形入団内定のFW永藤歩という2枚看板がいるが、その周りを固める陣容も多士済々なのだ。中でも個人的に注目しているのが、将来有望な1、2年生。トップ下の高宇洋、ボランチの原輝綺、CBの杉岡大暉の2年生トリオ、左サイドバックの1年生・杉山弾斗はそれぞれ異なる特徴を持ち、個性的な選手だ。
高は川崎フロンターレU-15からU-18の昇格を断って市立船橋に進学。1年時からトップ下として君臨し、高いアジリティーとクレバーな頭脳を駆使して、攻撃の中枢を担っている。
原は豊富な運動量と高い危機察知能力を持っており、椎橋と共に守備の第一防波堤として、分厚い壁を築いている。
杉岡は年代別代表に選ばれるなど注目の存在で、相手エースに食らいつく泥臭い守備とビルドアップ能力が高く、将来的にはボランチとして飛躍する可能性を秘めている。
杉山の魅力は抜群の破壊力を誇る左足にある。ワンステップで正確かつスピードのあるサイドチェンジやフィードを展開し、強気な性格もあり、積極的にゴールも狙う。将来が楽しみなルーキーだ。