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「J3から始めたい」国立5万人を驚かせた“異色の小さなドリブラー”流経大柏・亀田歩夢18歳の意外な選択「むしろ(富山が)J2昇格して危機感ある」
posted2025/01/15 11:02
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Naoki Morita/AFLO SPORT
国立競技場に駆けつけた5万8347人の大観衆を最初に沸かせたのは、流通経済大柏高校のドリブラー・亀田歩夢(3年)の圧巻の一撃だった。
第103回全国高校サッカー選手権大会・決勝。17年ぶりの優勝を狙う流経大柏は、先制に成功する。
12分、ドリブルを仕掛けたMF飯浜空風(3年)を追い越した亀田のもとにボールがこぼれると、トップスピードそのまま右足アウトサイドのタッチで前橋育英DFを剥がし、右足一閃。ボールはゴール左隅に吸い込まれた。
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黄色と黒のディフェンダーたちをあっという間に打ち抜いてのゴール。場内はどよめきに近い歓声が沸き起こった。
繊細なボールタッチと独特のリズムで、面白いように相手の逆をとってスルスルとゴール前に侵入する。シュートとクロスの精度も高い亀田のプレーは、大会を通じて多くの話題をさらった。
卒業後はJ2昇格の富山へ「カテゴリーこだわりない」
この活躍ぶりに、SNSでは卒業の進路について言及も多かった。
『亀田くん、ユーはなぜ富山に?』
『どうして富山にきてくれるんだ』
高校卒業後、亀田はカターレ富山に加入する。昨季、J3から昇格を決めたことで結果的にJ2でキャリアをスタートをさせることになるが、進路を決めた時は“J3”だったわけだ。4得点を決めた選手権を見れば「なぜJ1じゃないの?」と思う人がいても決して不思議ではない。
「どうしても高卒でプロに行きたいと思っていましたが、カテゴリーにはこだわりはありませんでした。むしろ、J3からステップアップしていきたいと思っていたので、カターレがJ2昇格して『ラッキー』だなんて思っていません」
冷静な口ぶりは、これまでの亀田のサッカー人生が起因している。