月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
プチ鹿島、10月のスポーツ新聞世相。
巨人監督人事をめぐる「空白の一日」。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/11/04 16:15
秋季練習に合流した高橋由伸監督(中央)。江川氏有力説も飛び交ったが、高橋氏が現役を引退し監督に就任することが決まった。
新監督たちの動向は?
阪神は金本知憲新監督の誕生となったが、スポーツ紙を追うと特筆すべきはそのやり手ぶりである。たとえば今回、掛布雅之氏の二軍監督就任も発表されて阪神ファンは歓喜したが、この人事は新監督主導によるもので「外部招聘中心の組閣に不満を持っていた生え抜きOBらを完全に“骨抜き”にしてしまった」(東スポWeb・10月23日)という。
金本監督といえば星野仙一に請われて阪神へ移籍したが、熱血とやり手の星野イズムも継承しているように思える。しばらく関西のスポーツ紙は大盛り上がりだろう。
やり手と言えばこの人も注目。横浜DeNAのラミレス新監督である。中畑監督辞任と時を同じくして、オリックスが巡回アドバイザーを務めるラミレス氏との契約を更新しないと報道された。
ラミちゃんの動きに注目していたのだが、複数の監督候補が出たあと(スポニチは'98年のV戦士・ロバート・ローズ説を書いていた!)、最後に浮上したのはラミレスだった。見事に監督の座を「ゲッツ!」。現役晩年、独立リーグに移籍をしてまで日本野球への愛と指導者の目標を語っていたラミちゃん。その夢が実現した。
ドラフト会議、ロッテの“匂わせ”は最高!
10月のスポーツ紙の華といえばドラフト会議である。ドラフト当日のスポーツ紙をすべてチェックしてみると千葉ロッテの動向が最大の謎だった。各紙のロッテ1位指名予想がバラバラなのだ。日刊スポーツは高橋純平(県岐阜商)、スポニチは平沢(仙台育英)、サンスポは熊原(仙台大)、報知は小笠原(東海大相模)、デイリーは桜井(立命館大)、東京中日は小笠原。
このなかでハッとするのはスポニチ予想の平沢である。地元・楽天の単独指名と言われ、すでに背番号「3」を用意されているという平沢に千葉ロッテも参戦するのか? 一方、デイリースポーツは「ロッテ、立命大桜井ドラ1」。巨人の単独指名が予想される桜井をあげてきた。
《松本編成統括はこの日、名前こそ明かさなかったが「来年すぐ戦力になれる投手がいる」と話した。一昨年のドラフトも、隠密に温めていた石川の指名を、当日になって敢行。「2年前のような感じになるかもしれない。競合するなら、2球団くらいになりそう」と話した。》(デイリー)
ロッテのこの“匂わせ”は最高! 巨人へのブラフかもしれないし、「競合するなら2球団くらいになりそう」というセリフはやっぱり楽天への宣戦布告かもしれない。いったい誰を指名するんだロッテ。ドラフト会議に注目した。
結果はご存知の通りである。平沢を敢然と指名し、見事に交渉権も獲得。ロッテは話題をかっさらった。