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田中将大、好調の陰にWBCの屈辱?
侍ジャパンとメジャー球を巡る提案。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byAFLO
posted2014/03/21 11:00
オープン戦でも好投を続けている田中将大。その適応能力が既に高く評価されているが、その投球を支えているのが、「決め球」スプリットだ。
2種類のボールを使ってきた、これまでの日米野球。
実はこれまでの日米野球では、ちょっといびつな形でボールを扱ってきている。
ある時などは、日本が攻撃のとき、即ちメジャーの投手がマウンドにいるときは、メジャー球を使用して、逆にMLB選抜が攻撃のとき、即ち日本の投手がマウンドにいるときには、今度は日本の公式球を使用する。1つの試合で2つのボールを使うというダブルスタンダードがまかり通っていたのである。
これでは野球の試合そのものとして成り立たないし、日本の投手にとっては、本当の意味では国際舞台での腕試しにもならないというのが現実だった。
ただ、これまでの日米野球はあくまでエキジビションマッチだった。それが今では、侍ジャパンが常設化され、その強化試合という新しい位置づけとなった。ならば試合に対するアプローチも当然見直して、変えるべきところは変える姿勢は必然のはずである。
WBC第4回大会まであと3年。長いようだが、限られた強化試合しかできない中で、この3年でできることは、実は非常に少ないともいえる。その一つ一つの機会を効果的に使っていくためには、おそらく企業サイドも、多少の譲歩はしてくれるのではないだろうか。
侍ジャパンプロジェクトは、どうしても経済効果ばかりに目がいきがちだが、野球を活性化させて、事業として長期的な展望を生むためには、何より勝つこと、世界一を奪回することが重要なはずである。
そのために最善を尽くす。秋のMLB選抜との強化試合でのメジャー球の使用は、その第一歩であると思う。