Jをめぐる冒険BACK NUMBER
ナビスコ決勝は浦和有利の下馬評も、
策士ネルシーニョに“奇策”の気配。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byAFLO
posted2013/11/01 10:30
天皇杯を優勝、今年のACLでも日本勢最高のベスト4とトーナメントでの戦いに強さを見せるネルシーニョ。ナビスコ決勝にも、奇策を用意しているのだろうか。
現在のシステムに、レアンドロのポジションはない。
8月に左股関節内転筋を傷め、ブラジルでの手術後、リハビリ中だったエースが決勝での出場を見据え、ついにチームに合流した。
先発するにせよ、途中出場するにせよ、3-4-2-1のシステムに彼が務めるポジションがあるとすれば、2シャドーしか見当たらない。
だが、現在は工藤と田中順也が務めているこのポジションは、相手DFにプレッシャーを掛けるだけでなく、相手DFの攻め上りに対して自陣まで戻って守備をすることまで求められるポジションだ。
負傷明けのエースにそこまで求めるのは酷というもので、レアンドロを起用するなら、3-4-1-2や4-2-3-1など、システムを変えて戦うことが現実的だ。
もうひとつシステム変更の可能性を感じる理由を付け加えるなら、機動力があり、ポジションも流動的な浦和の3トップに3バックで応対することの危うさがある。
前哨戦では、柏の3バックの中央、近藤直也がサイドに流れる浦和の1トップ、阪野豊史に付いていき、ゴール前の中央にスペースが空く場面が何度か見られた。
近藤が言う。
「相手はけっこう(サイドに)流れて来ましたね。今日はマークを受け渡さず、付いて行きました。相手にボールを回されているときに、マークしている選手に動かれたら、まずはボランチやサイドに受け渡します。でも、その選手にボールが出たら付いて行くしかない。そのときは、サイドの選手が真ん中をカバーする。その辺りの連係は、この1週間で詰めたいと思います」
「何やるか分からないところがあるし……」
その近藤に「蓋を開けてみたら4バックだったら、驚きだけど」と水を向けてみると、
「ウチがですか? 僕も驚きですよ。そんなことはないと思いますけどね……。ああ、でも、(監督は)何やるか分からないところがあるし、メンバーも変わるから、そう言われてみれば、たしかに可能性はあるかもしれない(苦笑)」
普段から柏を取材するライターも、「10月23、24、25日に続き、決勝前の30、31日、11月1日も練習が非公開になる。システムを変えるかどうかは別にしても、何か準備していて不思議はない。ACLでもいきなり中盤をダイヤモンドにして驚かせたことがありますから」と語る。
策士が素直に戦いを挑んでくるとは、ますます思えない。