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ザックジャパンが変わる第一歩?
工藤壮人、東慶悟にかかる使命。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO SPORT
posted2013/05/27 12:00
2011年の代表候補合宿候補にも呼ばれていたが、その時は落選した東(右)。「自分がA代表の実力に達しているとは思いません。でも、自信を持って挑戦したい」とコメントしている。
現監督下で定着した新メンバーは、非常に少ない。
6月15日からのコンフェデ杯を戦うメンバー23名は、この26名の中から選出されるということだが、工藤と東は今後、メンバーに生き残っていけるだろうか。これは、今回代表のメンバーに選ばれたこと以上に難しい。
2011年のアジアカップ以降、新しく招集され生き残った選手は清武と乾貴士ぐらいしかいない。清武は初出場の韓国戦で本田、香川という主力選手に2アシストという結果を出し、つづくW杯3次予選の北朝鮮戦では吉田麻也の決勝点をアシストをして、監督の信頼を得た。乾も、今年2月のラトビア戦で後半途中出場ながらチーム最多となる7本のシュートを放つなど、自らの持ち味を出しつつ攻撃に明確なアクセントを加える活躍を果たしている。今回の2人にも清武らと同様に、目に見えるような結果が求められるはずだ。
工藤は29日のJリーグ・広島戦をこなし、翌日、ブルガリア戦に合流する。過密日程は今季リーグ戦、ACLと戦う中で経験してきており、結果も残してきているが、代表は未知の世界。香川真司や遠藤らと呼吸を合わせ、少ないチャンスを生かし、いかに結果に結び付けることができるか。
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東はザッケローニ監督が明言しているように本田のバックアップ的な位置付けだ。
本来トップ下の本田のサブは中村憲剛であり、東はまずJリーグ屈指の司令塔と競い合わなければならない。ブルガリア戦は、そのテストの場になるだろう。本田が不在なのでスタメンはおそらく中村になる。だが、過去、新しく招集された選手がそうだったように、東にも必ずチャンスが与えられるはずだ。その時にどれだけ自分の良さを出し、チーム戦術にフィットし、チームに貢献できるか――。
幸いなことに清武、吉田、酒井宏樹など、ロンドン五輪代表組が数人いる。特に清武とは大分ユース時代からの仲で、ロンドン五輪最終予選のマレーシア戦で見せたゴールのように、非常に息が合っている。まったく知らない選手の中でのプレーではないので、「もしかすると」という楽しみはある。
2人の選出は、既存の選手達の更なる成長にもつながる!
最近の日本代表は新陳代謝がなく、チームには安泰ムードが流れ、やや緊張感を欠いていた。アウェイでのヨルダン戦の敗戦は、そういったことと無縁ではないはずだ。
チームの成長には競争は不可欠なもの。無風に向かっていたポジション争いに新風が吹き込まれたのは、彼ら2人の活躍はもちろんだが、監督が思うような成長曲線を描けていない既存のメンバーの奮起も狙いとしてあるだろう。あるいは、既存の選手を見極めて、思い切って入れ替える機会と捉えているのかもしれない。いずれにせよ、工藤と東ら新顔の招集は、来年のブラジルW杯に向け、チームがマイナーチェンジを繰り返していく第一歩になる。