サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ザックジャパンが変わる第一歩?
工藤壮人、東慶悟にかかる使命。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO SPORT
posted2013/05/27 12:00
2011年の代表候補合宿候補にも呼ばれていたが、その時は落選した東(右)。「自分がA代表の実力に達しているとは思いません。でも、自信を持って挑戦したい」とコメントしている。
30日のブルガリア戦、6月4日のブラジルW杯アジア最終予選オーストラリア戦に向けて、日本代表が動き出した。先週、発表されたメンバーは26名。目を引いたのは初招集となった工藤壮人と、2011年以来の2年ぶりに選出された東慶悟。ともに1990年生まれの若手である。
工藤は早くからザッケローニ監督が目を付け、マークしていた選手だ。非常にメンタルが強く、試合に出ていない時でもハーフタイムに「俺がこの後、試合に出て、点を取ってヒーローになるから」とチームメイトに平然と言い放つところは、どこか本田圭佑に似ている風でもある。
プレーは非常にアグレッシブでゴールシーンも多彩だ。4月6日の名古屋戦ではドリブル突破からゴールネットを揺らし、5月6日の横浜FM戦では豪快なミドルを決めた。5月18日のC大阪戦ではDFの裏に抜けてスルーパスを受け、流れるようなゴールシーンを見せてくれた。重ねたゴール数は、リーグ戦12試合で8得点。得点ランクは4位タイ(5月26日現在)だ。ACLでも8試合で5得点と抜群の決定力を見せている。工藤本人は「自分らしいのは泥臭く決めるゴール」というが、これという型がなく、どんなパターンでも点が取れるのが工藤の持ち味である。
清武も舌を巻いた、東の献身的な守備。
東は、昨年4位と躍進したロンドン五輪代表の中心メンバーの一人だ。
今季は「相手にとって恐い選手になる」というのを目標とし、この数カ月で飛躍的に成長した。「大宮時代は守備の負担が多かったんでここまでゴールに絡むことは出来なかったけど、今は常にゴールを狙えるし、やっていて楽しい」と、自身が語るように大分時代に薫陶を受けたポポビッチ監督のいるFC東京に移籍したのがプラスに出ている。ゴール数は2だが、決定的なチャンスに絡むシーンは多くなり「恐さ」は確実に増している。
東のもうひとつの魅力は、献身的な守備である。
ロンドン五輪で「守備が半端なかった」と清武弘嗣が語ったように、豊富な運動量で相手にプレッシャーをかけ、鋭い読みでボールを奪う。ザッケローニ監督は守備については非常にうるさく細かい指示を出す。その点、守備の勘がいい東なら監督の要求に応え、攻守ともにチームに貢献できるとふんだのだろう。もしかすると、ブラジルなど強豪と対戦するコンフェデ杯で守備の時間が長くなることを見据えているのかもしれない。
では、この時期での工藤と東の招集は、どんな意味を持ち、代表にどんな影響を与えるのだろうか。