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セレーゾ監督復帰で王者復活の狼煙!!
鹿島が春季キャンプで準備したもの。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKyodo News
posted2013/02/18 12:00
就任にあたり「前と同等か、それ以上の成果を出したい」と語ったトニーニョ・セレーゾ監督(中央)と新加入の選手たち。(左から)植田直通、前野貴徳、ダヴィ、(1名おいて)野沢拓也、中村充孝、豊川雄太。
J2得点王ダヴィは大迫、ジュニーニョとの相性も良し。
過去、鹿島が最後まで諦めずに攻撃をし続け、押されても巧くいなしながら勝てたのは、厳しい練習によって育まれた豊富な運動量という裏付けがあったからだ。ただ、以前のセレーゾは練習時間が長く、ハードだったが、今回は科学的なトレーニングを導入し、中田曰く「短時間でも密度の濃いトレーニングが出来ていた」という。
昨年末、鹿島は新井場徹(→C大阪)、興梠慎三(→浦和)、増田誓志(→蔚山現代)ら主力が移籍で抜けたが、代わりに野沢拓也(←神戸)が復帰し、ダヴィ(←甲府)、中村充孝(←京都)らが加入した。ホンダロック戦では、その新加入組の活躍を始め、昨年の鹿島とは違ういくつものシーンが見られた。鹿島は昨年、チャンスは作れるが得点できずにシーズンを通して得点力不足に苦しんだ。だが、それは今季では改善されそうだ。
練習試合後半、出場したダヴィは、チャンスとあれば積極的にシュートを放ちゴールを決めるなど、昨年J2得点王の勢いそのままにプレーしていた。大迫勇也、ジュニーニョとの相性も良く、前線の迫力は格段に増し、得点力は大きく向上するだろう。
鹿島の伝統“繋ぐサッカー”の復活をチーム全員で目指す!
また、戦い方にも変化が見られた。
昨季は攻撃の時、縦に急ぎ過ぎるため中盤がついてこれず、厚みのある攻撃が出来ていなかった。だが、今シーズンは「しっかり繋いで回す」というセレーゾ監督の考えが浸透している。ミニゲームでもとにかく「しっかり繋げ」と、声を張り上げ、繋ぐ意識を徹底させていた。柴崎岳も「慌てないでボールを回しながらチャンスを窺う。もちろん早く攻める時もあるけど、監督はそのメリハリをつけることを求めている」と言うように、中盤で時間とリズムを作り、緩急をつけて攻める意識付けをしていたのだ。
鹿島の伝統とも言える繋ぐサッカーの復活は、選手起用からも窺えた。
練習試合では、センターバックに岩政大樹と青木剛が入り、左サイドバックには中田が入った。
青木は、「自分がセンターバックとして求められているのは、ビルドアップの部分」と語り、中田も「サイドで起点になること」と、守備のみならず、攻撃での役割を期待されていることを認識していた。青木は元ボランチで繋ぎがうまいところを評価されての起用。中田も元ボランチでトゥルシエが代表監督だった時は、フィードの精度を高く評価されて代表入りも果たしており、2人ともしっかりとビルドアップできる選手といえる。