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ロンドンで輝くU-23代表の陰で、
“落選組”大迫、原口らが見せる意地。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byAFLO
posted2012/08/03 10:31
チームの中心であり続けながら、最後の最後にロンドン切符を手に入れられなかった大迫。エリート街道を歩いた彼は、最初の挫折を糧にすることができるか。
Jリーグに戻った落選組に気落ちしている暇はない。
一方、落選という厳しい現実を突き付けられた国内組の選手たちは、当然ながら舞台をJリーグに戻した。
GK増田卓也(広島)、DF比嘉祐介(横浜FM)、DF吉田豊(清水)、DF濱田水輝(浦和)、DF大岩一貴(千葉)、MF山本康裕(磐田)、MF水沼宏太(鳥栖)、MF茨田陽生(柏)、FW山崎亮平(磐田)、FW大迫勇也(鹿島)、FW原口元気(浦和)――。招集メンバーの常連でありながら、最終メンバーに名を連ねることができなかった面々である。
しかし彼らは、オーバーエイジ枠の2人を除けば“16名前後”という位置付けにあるタレントである。お節介を焼いて尻を叩くわけではないが、“次の世界”を目指すなら気落ちしている暇はない。
落選の悔しさをばねにして飛躍する鹿島の大迫勇也。
大迫は、おそらく関塚隆監督がイメージしたチームスタイルにおける“FW像”から外れて最終メンバー入りを見送られた。
本番での戦い方を見れば明らかだが、関塚監督がFWに求めたのはポストワークを巧みにこなす“うまさ”でもフィニッシュワークを一手に担う“決定力”でもなく、相手をかき回す“スピード”と背後のチームメートを助ける“献身性”である。これは創造性、突破力、決定力に優れる2列目のタレントを活かすためのある意味英断だが、つまり大迫はそうしたFW像に当てはまらなかったのだろう。しかしFWとしては、与えられたチャンスでゴールという結果を残せなかったのだから、受け入れるより他ない。
「(出来が)悪かったから選ばれなかった。今まで以上に、素直に頑張ります」
五輪メンバーの発表後、悔しさを押し殺すように、大迫はそう話した。しかし奇しくも落選を機に、その才能は一皮剥けてきている気がしてならない。
メンバー発表から5日後の7月7日、第17節大宮戦では西大伍の決勝点をアシスト。DFを背負いながらボールをキープし、走り込んだ西に合わせる“うまさ”が光った。第19節広島戦では2得点を奪い、もの足りなさを感じさせた“決定力”でも力を示した。1点目は流し込むだけの簡単なゴールだったが、FWがその仕事を「ラッキー」と切り捨てる必要はない。