- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
「巨人が優勝したら坊主になる」“広島ファン”久米宏が猛抗議された日…なぜ“優勝4日後”に坊主にしたのか? 「早まるな」徳光和夫は久米に電報を送っていた
text by

岡野誠Makoto Okano
photograph byJIJI PRESS
posted2026/01/19 11:00
『ザ・ベストテン』(TBS系)『ニュースステーション』(テレビ朝日系)などで活躍した久米宏さん
〈キャスターの世界でも、坊主になるのならないのって『ひょうきん族』ののりおみたいなことやってんだから、何やってんのかね〉〈久米宏の坊主騒ぎも視聴率稼ぎの作戦でしかないってのは、目に見えてるよな〉(89年10月13日号)
翌週の月曜も、久米はいつも通りの頭で登場。「今週中には何とか」と話した。重大な事件や事故はいつ起きるかわからない。坊主になった日に、深刻な表情で悲しいニュースを伝えるわけにはいかない。
坊主にした日…なぜ優勝“4日後”だったのか?
頭を刈るタイミングは、慎重を期す必要があった。翌日、番組が始まると、久米の姿がない。冒頭の5分、小宮悦子キャスターがニュースを伝えた後、「ジャイアンツ・ファンの皆さま、お待ちどおさまです」と言うと、坊主頭の久米が登場。スタジオには、糸井重里と川崎徹がいた。糸井は前年、『GIANTSエイド』で「巨人が優勝を逃したら、坊主になってフンドシ一丁で六本木を走る」と公約し、実行していた。
ADVERTISEMENT
久米:4時間ほど前に、頭坊主にしたんですよ。気持ちがいいもんですね。
糸井:爽やかですよね。
久米:なんちゅうかな、若返った感じがする。
糸井:僕も去年、散々褒められたんですけども、本音じゃないですね、みんな。慰めてるだけですね。
久米:似合うとか頭の形がいいとか言ってくれるのは、慰めなんですか。
糸井:あとで伸びてきて、「やっぱりその方がいいね」ってみんな言います。
メディアに囲まれて…「後悔はしてません」
なぜ、すぐに頭を刈らず、10月10日を選んだのか。休日には、大きなニュースが起こりづらい。その傾向を元に「体育の日」にしたのだ。久米がテレビ朝日の玄関を出ると、ワイドショーや週刊誌のカメラマンら約50人に囲まれた。「後悔はしてません」という彼の頭を、芸能レポーターが撫でるなど、その場は大盛り上がり。翌日以降のテレビや雑誌で、この様子は大きく伝えられた。スポーツライターの玉木正之は怒っていた。
〈いやしくもジャーナリズムに関わっている人物が、スポーツ(プロ野球)を愚弄し、ストリップまがいの行為で視聴率を稼ぐのはいい加減にしてもらいたい〉(90年5月発行/著書『されど球は飛ぶ』/河出書房新社)
四方八方からの批判は十分予想できた。なのに、なぜ久米は「巨人が優勝したら坊主になる」と宣言し、本当に頭を丸めたのか。のちに、ヒントとなる言葉を残している。
〈つづく〉
※肩書は当時。敬称略。視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区。
