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青学大・原晋監督の名采配「“サプライズ”黒田朝日5区は1週間前に決まった」じつは“誤算”も…「体調不良で1区当日変更」3分25秒大逆転はこうして生まれた
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生島淳Jun Ikushima
photograph byNanae Suzuki
posted2026/01/02 20:22
衝撃だった青学大5区黒田朝日(4年)。小田原中継所時点でトップと3分25秒差を1人でひっくり返した
下り切り、平地になれば走力で黒田に分がある。必死の工藤に並ぶ隙を与えず、先頭でフィニッシュした。
1時間07分16秒。
若林の記録を1分55秒も上回る驚異の区間新。圧巻であった。
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そして黒田本人が、「シン・山の神」を高らかに宣言した。
「5区から加速」“異例の”原采配
それにしても、改めて感心するのは黒田の5区起用を決断した原監督の采配だ。
優勝チームから6人が卒業するとなると、正直、連覇は厳しくなる。しかし、黒田という存在を最大限に生かせば、3連覇のチャンスはある。「黒田」という人材を、どの区間に投資すれば最大限の効果を得られるのか、「レバレッジ」を模索した結果、「5区」と判断した。それが最適解だった。
そのトレードオフとして、4区までの低迷を受け入れた(1区の出遅れには頭を抱えたかもしれないが)。この胆力!
往路の4区まで「それなりにつないでくれれば」という発想をした監督は、箱根駅伝史上、初めてではないか。
実は今回、12月29日の区間エントリーを見て「青学はずいぶんと“後傾”だな」とは思っていた。
往路を希望していた塩出翔太を3年連続で8区に起用し、山下りと見られていた佐藤有一が9区、そして往路人材の折田壮太が10区にエントリーされていたからだ。
珍しく復路勝負か……と思ったが、こう見てくると、今回の青学大の区間配置は「5区から本格化」という、「シン・原采配」だった。
黒田5区は奇策ではなかった。
レバレッジを最大限に効かせた原采配。
色とりどりのたすきが躍動したエンタメ性にあふれた往路、最高の形で締めくくったのが黒田朝日だった。
ちなみに、青山学院大は往路優勝し、逆転を許したことはない。


