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青学大・原晋監督の名采配「“サプライズ”黒田朝日5区は1週間前に決まった」じつは“誤算”も…「体調不良で1区当日変更」3分25秒大逆転はこうして生まれた
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生島淳Jun Ikushima
photograph byNanae Suzuki
posted2026/01/02 20:22
衝撃だった青学大5区黒田朝日(4年)。小田原中継所時点でトップと3分25秒差を1人でひっくり返した
しかし青学大は、2区飯田翔大(区間10位)、3区宇田川瞬矢(区間7位)が粘って8位まで盛り返す。そしてこの日の敢闘賞が4区の平松享祐の好走。本来は小河原が走るはずだった区間で、トップの中央から3分24秒差、2位の早稲田とは2分12秒と「危険水域」手前で踏みとどまった。青学大の中間層の実力を見せつけた格好だ。
半信半疑だった「3分半なら逆転できる」
そして5区。2009年、東洋大の1年生、柏原竜二の8人抜き以来のスペクタクルが展開されることになろうとは、予想できなかった。レース前、原監督は「3分半なら逆転できる」と話していたが、「御冗談でしょ」と思っていた。
5区の区間記録は、前回の若林がマークした1時間09分11秒。早稲田の工藤が前回1時間09分31秒で、走力が上がっている分、1時間9分前後の記録と予想していた。
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原監督の想定タイムは「1時間7分50秒」。練習の消化具合から考えられる「科学的な」予測である。
しかし、黒田はそれを超えた。
工藤との差がみるみる縮まる。
大平台(7.0km)で1分57秒。
小涌園前(11.7km)で1分02秒。
この時点で、「嘘だろ……」と唖然茫然の状態となった。
そこからも勢いは止まらず、芦之湯(15.8km)で15秒、元箱根(18.7km)で6秒にまで迫り、将棋用語でいう「詰めろ」の状態となった。

