大谷翔平世代の「消えた天才たち」のウラで中日ドラフト3位…超無名選手はなぜプロ野球に行けた？ 1人だけ補欠「バカにされた」150cm中学1年生、逆襲が始まった日 

　岡野の話し方は常に一定だった。興奮して声が上ずることもなければ、消沈して声が小さくなることもない。その落ち着き振りは現役時代の岡野のマウンドさばきを彷彿とさせた。

「コントロールはそこまで困らなかったというか。ストライクが入らなくて試合を壊すみたいなことは、あんまりなかったと思いますね」

　大街道キッズは石巻市内ではそれなりの戦績を誇っていたが、県大会で戦えるほどのレベルではなかった。

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「ジャンボ大会っていうすごい数のチームが参加する宮城県の大会があるんですけど、それは2回くらい勝ってすぐ負けちゃった感じですね。記憶に残らないぐらいすぐに負けてると思います」

インタビューに応じた現在の岡野祐一郎 ©Number Web

「ただ1人ベンチ」中学1年で挫折

　岡野は中学生に上がると、石巻中央リトルシニアに入団する。中学校の野球部はさほど熱心に取り組んでいるようには感じられなかったからだ。石巻市内にシニアのチームは三つあったが、岡野はそのうち三浦拓実らもっともいい選手が集まりそうな石巻中央シニアを選んだのだった。

　そこで出会った三浦は、後の話になるが東日本大震災の翌年、2012年に21世紀枠として選抜高等学校野球大会に出場する石巻工業のエースになる人物でもあった。

　考え得る中で、もっともレベルの高いチームを選んだが、岡野の中に怯む気持ちはまったくなかった。

「中学になったらもっと強いチームでやりたかったし、自分も小学生のときはチームではいちばんうまいと思っていたのでやれると思っていました」

　ところが、その見込みは大きく外れることになる。同学年の選手は10名ちょっとだった。入団後、最初の公式戦となった1年生大会で岡野はただ一人、出番を与えられなかった。

「あのときは嫌な記憶しかないですね」

　そして、その状況は3年生になってもほとんど変わらなかった。

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