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大谷翔平世代の「消えた天才たち」のウラで中日ドラフト3位…超無名選手はなぜプロ野球に行けた? 1人だけ補欠「バカにされた」150cm中学1年生、逆襲が始まった日

posted2025/10/18 11:04

 
大谷翔平世代の「消えた天才たち」のウラで中日ドラフト3位…超無名選手はなぜプロ野球に行けた? 1人だけ補欠「バカにされた」150cm中学1年生、逆襲が始まった日<Number Web> photograph by KYODO

2020年から4年間、中日でプレーした岡野祐一郎

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中村計

中村計Kei Nakamura

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 かつて大谷翔平よりも“天才”と呼ばれた同世代がいた。大谷に「負けた」と言わせた少年。大谷が落選した楽天ジュニアのエース……。天才たちは、30歳になってどうなったのか? 書籍『さよなら、天才 大谷翔平世代の今』が発売された。
 その書籍のなかから“超無名中学生の逆転人生”を紹介する。中学時代はチームで唯一補欠で、将来の夢は公務員……一昨年現役を退いた岡野祐一郎(元中日)の物語である。【全2回の1回目/第2回も公開中】

 

◆◆◆

 どこへ針路を取るべきか。岡野祐一郎の場合、母親の「嘘」が羅針盤になった。

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 2009年秋、岡野が中学3年生だったときのこと。学校から帰ってくると、母親が目を輝かせて言った。

「特待、決まったよ」

 岡野の心臓が跳ねた。

「ほんと?」

 進学先が福島県内の最強豪校、聖光学院に決まった瞬間だった。同学年の大谷翔平が花巻東高校に絞ったのと同じ時期である。

なぜ超無名選手がプロ野球選手に?

 岡野は石巻市立門脇中学校(現在は石巻中に統合)に通っていた。宮城県の北東、牡鹿半島の付け根に位置する石巻市は2011年の東日本大震災の際、もっとも多くの死者・行方不明者(3970人)を出した市町村でもある。震災時、避難所になっていた同校は少子化の影響で2021年春に閉校している。

 大谷と同学年の選手たちのその後を追う過程で、痛切に感じたことがある。小学校、中学校、高校と、大谷同様に「すごいやつ」「バケモン」と呼ばれていた選手は、誤解を恐れずに言えば、話の中で次から次へと出てきた。ただ、ほとんどが聞いたことのない名前だった。つまり、最終的にプロ野球の世界まで辿り着けていなかった。もっと言えば、ほとんどの選手がドラフト候補にもなっていなかった。

 そんな中、誰に聞いても「すごいと思ったことはない」と言われながら、高校卒業後、大学、社会人とアマチュア野球のすべての段階を経て、プロ野球まで到達した選手がいた。それが聖光学院出身の岡野である。

 岡野は小学3年生のとき地元の大街道キッズで野球を始めた。入団後しばらくは主に捕手を任されたが、高学年になるとマウンドに立つようになる。小学生にしては肩が強く、何よりもコントロールがよかった。

【次ページ】 「ただ1人ベンチ」中学1年で挫折

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