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「気になる言動ある」巨人・阿部慎之助監督に伝えたい…“結果論で采配批判する声”にどう対応すべきか? 阪神・藤川球児監督もかつて苦悩していた
text by

岡野誠Makoto Okano
photograph byNanae Suzuki
posted2025/10/12 11:02
巨人監督の阿部慎之助(46歳/手前)、阪神監督の藤川球児(45歳)
〈10万人、非常に多いですよ。ただ、この方たち、もしかしてどこかに(不満を)ぶつけなければ、自分の人生が止まってしまいそうなんじゃないか。そう思えるようになった。『(藤川は)強いから言っても大丈夫だな』って思われてるんだなって。そうか、どうぞ言わせてあげようと。そういう風に変わったんですよ。(他人の意見を)止めようとしなくなった。この人たちは一日が苦しかったから、最後のはけ口として、煌びやかな世界、派手に見える世界に来た。これは演じてあげなきゃいけないと。スッーと流せるようになった。そこに対して、怖がることがなくなった〉
現役時代を通じて、藤川球児は外野の声を流す術を身に付けていた。そのため、人気球団ゆえに雑音も多い阪神タイガースの監督として、チームを優勝に導けたのだろう。
筆者から“最後の提案”
阿部慎之助は現役時代に日本一3回、優勝8回を経験し、通算406本塁打を放った史上屈指の捕手である。指導者になってからも二軍監督、ヘッドコーチなどを経験し、さまざまな立場から選手を見てきた。そして、監督就任1年目でリーグ優勝を成し遂げた。2リーグ分立後の巨人では川上哲治、藤田元司、原辰徳に次いで4人目の快挙だった。
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その野球眼が間違っていれば、偉業は成し遂げられなかっただろう。ファンはプロ野球を観る楽しみの1つに、自分が監督になったつもりで起用法を考えるという点がある。だから、野球は話題になりやすく、人気スポーツとして君臨している面もある。誹謗中傷は論外として、メディアやファンが起用法に意見を言うのはエンタメの1つと割り切るしかない。
チームのことを誰よりも考え、最善を尽くしているのは阿部監督なのだ。自信を持って、外野の声を無視する余裕を持てばいい。
そう言いながらも、最後に1つ提案をさせてほしい。
阿部監督は試合後の会見で記者の質問にムッとしたり、返答に窮したりする場面もあるだろう。腹の中の怒りを押し出しそうになったら、「……う〜ん、どうでしょう〜」と長嶋茂雄のモノマネをしてほしい。その時、阿部慎之助の中で何かが吹っ切れるに違いない。

