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藤川球児監督のコメントは本当に“つまらない”のか? 阪神・佐藤輝明に苦言の岡田彰布と比較…「そこは自分の責任」発言に隠された“藤川の手腕”

posted2025/09/14 11:02

 
藤川球児監督のコメントは本当に“つまらない”のか? 阪神・佐藤輝明に苦言の岡田彰布と比較…「そこは自分の責任」発言に隠された“藤川の手腕”<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

監督就任1年目で阪神をリーグ優勝に導いた藤川球児

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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Hideki Sugiyama

今季のプロ野球でセ・リーグを独走で制した阪神。チームを率いたのが監督就任1年目の藤川球児(45歳)である。歯に衣着せぬ発言で話題を集めた岡田彰布前監督に比べて「コメントが地味」ともいわれた男は、いかにして優勝へ導いたのか――。岡田彰布の「はっきり言うて」研究でも知られるライター・岡野誠氏がひもとく。【全2回の1回目/第2回へ】※コメントの引用元は全てデイリースポーツonline/日付は発言日

 独特の言い回しが“どん語”と親しまれた岡田彰布・前監督に比べ、新しい指揮官の談話はほとんど話題にならなかった。だが、「つまらないコメント」に藤川球児監督の真骨頂が隠されていた――。

岡田前監督と真逆…佐藤輝明へのコメント

 まず、主砲・佐藤輝明に対する新旧監督の談話を読み比べてみよう。

 岡田監督は、頻繁に苦言を呈していた。象徴的な例は、昨年8月17日の中日戦(バンテリンドーム)だろう。2点リードの9回裏2死満塁のピンチで、福永裕基の打球をショート・木浪聖也が好捕。サードに転送するも、佐藤は二塁走者が三塁付近にいると勘違いしてホームへ送球せず、同点のホームインを許した。岡田監督は呆れていた。

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――三塁の佐藤輝は走者の動きが見えていなかったか。  

「見えてなかったいうのと、見てなかったいうのは違いがあるわな。野球勘やけどな、それはもう。誰が近くで見てるの、誰が指示せなあかんの。簡単なことやんか」

 岡田監督は佐藤輝に限らず、誰にも忖度せず、言いたいことを言っていた。「現代っ子は叱らないほうがいい」という定説があるが、指摘すべき場面で何も言わなければ、成長を促せない面もある。また、他の選手に「主砲だから遠慮しているのではないか」と特別扱いの疑念を抱かせる危険性もある。岡田監督は叱咤で選手を進歩させ、チームを統率した。 

 一方、藤川監督は佐藤輝がミスを犯した時、どんなコメントをしたのだろうか。

【次ページ】 選手批判ほぼ皆無…なぜ?

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