「お尻を叩かないと行かない」日本サッカーの弱点を“海外指導20年”日本人コーチがズバリ…では日本代表は？「森保さんがよく言っていますが」 

「オーストラリアもNZも英国圏の国なので、サッカーもどっぷり英国式のスタイルです。古き良きイギリスのサッカー、ラグビーに近い、違うスポーツじゃないかと思えるぐらいのサッカーです。

　日本人のアイデンティティは、テクニカルで繊細なサッカーですが、彼らのアイデンティティは最短でゴールに行きたい。クロスを上げるチャンスがあったら取り敢えず上げる。そんなメンタリティなので、放っておいたらゴールにみんな行っちゃう（笑）。

　でも全部が全部それだと、相手も対応できるから、僕はそれを賢くやりましょうと言いました。また技術も大事で、育成年代に取得しましょうと。イギリス人のコーチが言わないことを言ったので、そこは重宝されました」

NZ代表コーチを務めたころ　©AFLO

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――枚方FCの出身ですが、近江達先生はまだ指導されていましたか。

「僕は教え子です。近江先生に直接指導していただいた最後ぐらいの世代です」

――当時の枚方FCは、日本の中ではちょっと特殊というか……。

「もうドリブル、ドリブルで。静岡学園か枚方FCか。FC刈谷もありましたが、ドリブルばかりしていた」

――その経験が原体験として……。

「あるかも知れないです。僕のDNAの一部では絶対にありえます」

シティで得た教訓と“資金力のリアル”

――ちなみにそのDNAは、シティのやり方とフィットしていたのでしょうか。

「僕の中ではシティのやり方というのはもっと全体的な――戦術の落とし込みとかそのメソッドの新鮮さはありましたが、チームの在り方とかそちらの方が影響力はありました」

――環境作りなどですか。

「組織力です。ただ、ひとつ言えば、問題を解決できる資金力が彼らにはある。アラブの王族がお金を出してくれるので、理想の環境を作れる資金力があります。ホテルと練習グラウンドが一体になっている施設がドバイとアブダビにあって、ACLに出場する直前に見学しましたが、まあ凄い施設でした」

――カタールのアスパイアが有名ですが、あのような施設があちこちにある感じでしょうか。

「僕らが行ったのはドバイでしたが、郊外にゴルフ場、トレーニングセンター、五つ星ホテル、競馬のトレーニングセンターなどを備えたコンプレックスです。けた違いというか規模の違いには、ちょっと度肝を抜かれました」

――神奈川大学での指導は、シティメソッドやこれまでの経験を意識していましたか。

「僕の経験を直接伝えていました。ただ、そのやり方が、今の彼らに完全に正解かどうかはわからないし、なるべく押しつけないようにはしています。成功体験を話したり、戦術的なことも選択肢を与えて、僕の判断にならないように気をつけています」

成功体験＝すべて正解ではない

――それで学生はすぐに変わりますか。

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