「お尻を叩かないと行かない」日本サッカーの弱点を“海外指導20年”日本人コーチがズバリ…では日本代表は？「森保さんがよく言っていますが」 

「Jリーグが始まったころは、海外から有名な監督がたくさんやって来た。その人たちが言うのは、何で日本人はこういう場面ではどうしたらいいのかと聞いてくるのか、ということでした。それを自分で考えるのがサッカーじゃないか。でも日本人は、考えるメンタリティを持っていない。自分以外の誰かが判断をする、誰かに決めてもらうのが日本社会の在り方で、そこを自分では考えない。そのメンタリティでは、外国に行くとなかなか難しいです。

　その辺の話は森保一さんともよくしますが、森保さんが言っているのは、日本の選手が海外に行くとアイデンティティの問題に直面することです。僕も同じ経験をしましたが、日本人とは何ぞやということを考えさせられる。そういう状況に今までいなかったので、周囲の誰もがアイデンティティを持っている中に放り込まれると、自分のアイデンティティとはと嫌が応でも考えなければならない状況に陥る。

　そのアイデンティティを持った集合体が今の日本代表であるならば、それは日本代表が強くなったひとつの要因であると思います。しっかりと個を確立した選手が、代表に集まっているわけです。

ADVERTISEMENT

　人とつながって何かを成し遂げる能力は、元々日本人のDNAに組み込まれている。それは外国人にはない強みで、そこを森保さんはうまくファシリテート（対話の促進）して、選手個々のパフォーマンスを引き出す方向に、あるとき方向転換したと聞きました」

グローバル時代に不可欠なアイデンティティ

――たしかに個の確立とアイデンティティの問題は重要ですね。

「日本人はサッカーだけではなくて、学校のクラスでも、髪の毛の色も肌の色も喋る言葉も小さなころからほとんど一緒です。宗教的なバックグラウンドや家族の在り方も同じで、人と違うのは弾かれる存在です。

　向こうは違うというところからスタートしているので、オリジナリティは何かが常に問われるし、そこが弱いと弾かれてしまう。逆に日本はそこが強いと弾かれる（笑）。でもグローバルな世界では、アイデンティティがしっかりしていることが絶対に大事です」

――そう思います。ありがとうございました。〈第1回からつづく〉

#1から読む

現役時代は中田英寿・森保一と同僚…日本人指導者が見た“マンCグループ”の舞台ウラ「全員、五つ星ホテルに」インドでビックリした話

#3

「お尻を叩かないと行かない」日本サッカーの弱点を“海外指導20年”日本人コーチがズバリ…では日本代表は？「森保さんがよく言っていますが」

#2

「ヒデ（中田英寿）はそれが彼の生き方」「サンフレッチェは整っていました」“金満だけでない”マンC式に触れた日本人にJはどう見えるか

#1

現役時代は中田英寿・森保一と同僚…日本人指導者が見た“マンCグループ”の舞台ウラ「全員、五つ星ホテルに」インドでビックリした話