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「プロの捕手に、構え方から」!? “素人”YouTuberがなぜ最強ソフトバンクでコーチを?…千賀滉大が「甲斐拓也もアレをやってくれたらなあ」
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熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byHiromu Midorikawa
posted2025/09/20 11:03
いわゆる「野球YouTuber」の緑川大陸(ひろむ)さんはなぜソフトバンクでキャッチングを教えることになったのか? その紆余曲折を聞いた(写真:本人提供)
甲斐拓也からメッセージが来た!
やがてフレーミングについて積極的に発信するようになった緑川さんのもとに、思わぬ人からメッセージが届いた。甲斐拓也である。自主トレのサポートという形で二人三脚を始めたことで緑川さんは多くの人に知られるようになり、25年にはホークスとアドバイザリー契約を結ぶに至る。
プロ経験もなければ、アマチュアでの大した実績もない一介のコーチが、プロ野球選手たちを指導する。ちょっと考えられない展開だが、そこまでの道のりはもちろん平坦なものではなかった。無名の指導者が、野球界の常識を真っ向から否定する技術を広めようとしているのだ。批判されないわけがない。地動説を唱えたガリレオ・ガリレイのように、と言ったら言い過ぎだろうか。
ホークスで講義をするという大勝負
23年の秋、緑川さんは人生最大の勝負を迎えた。甲斐を個人指導する流れでホークスの宮崎キャンプに招待され、現役キャッチャーはもちろんのこと、コーチ陣にフレーミングについて講義と実技指導を行なうことになったのだ。
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「甲斐さんが取り組み始めたフレーミングについて、コーチの中には納得していない人も少なからずいました。それはいいことではないということで、チーフアナリストの吾郷伸之さんがこの技術について説明する場を設けてくれたんです。正直、大変なプレッシャーを感じていました。それまでのぼくは、フレーミングに興味のある人のところに行って説明をしたり、コーチングをしたりしていましたが、今度はプロで実績があり、フレーミングに否定的な人たちを相手にするわけですから」
どうしたらフレーミングを認めてもらえるか。緑川さんは完璧に資料を整え、練りに練ってスピーチの原稿を作り上げた。

