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「プロの捕手に、構え方から」!? “素人”YouTuberがなぜ最強ソフトバンクでコーチを?…千賀滉大が「甲斐拓也もアレをやってくれたらなあ」 

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熊崎敬

熊崎敬Takashi Kumazaki

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photograph byHiromu Midorikawa

posted2025/09/20 11:03

「プロの捕手に、構え方から」!? “素人”YouTuberがなぜ最強ソフトバンクでコーチを?…千賀滉大が「甲斐拓也もアレをやってくれたらなあ」<Number Web> photograph by Hiromu Midorikawa

いわゆる「野球YouTuber」の緑川大陸(ひろむ)さんはなぜソフトバンクでキャッチングを教えることになったのか? その紆余曲折を聞いた(写真:本人提供)

「20分程度のスピーチの原稿を丸暗記して、最初の挨拶から締めの言葉まで、ひまさえあればくり返していました。寝るたびにスピーチをする夢が出てきて、そのたびにコーチの方々に否定される。夢の中では失敗ばかりでした」

予定変更で頭が真っ白に……!

 やがて当日になり、宮崎に乗り込んだ緑川さんだが、夜に予定されていた発表会が急遽、昼過ぎに前倒しになったことを知らされ、頭の中が真っ白になった。何百回と諳んじてきたスピーチがまったく思い出せない。目の前には夢でさんざん叩かれたコーチたちが腕組みをして、お手並み拝見とばかり自分を見つめている。

「もういい、あとは野となれ山となれ!」

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 腹をくくってマイクを取った緑川さんを救ったのは、舞台での経験だった。彼には大学卒業後、俳優を志して修業をした時期がある。鳴かず飛ばずに終わったが、そのときに身につけた観客の心をつかむ術がピンチに生きた。頭の中で考えたわけでもないのに、自然と言葉が出てきたのだ。

「まずひとつ言わせてください。いまぼくは、プロの世界で活躍したみなさんに話をしようとしていますが、それはプロになりたくてなれなかった自分にとって当たり前のことだとは思っていません。はっきり言って緊急事態です。ですから、全然理解してもらえなくていいので、とにかくぼくがいま夢中になって勉強していることを発表させてください」

コーチ陣の表情が変わった

 そこからはほとんど記憶がないが、聞き手の表情はなぜか憶えていて、最初は「どうぞご自由に」と突き放すように見ていたコーチ陣からの圧が、なぜか途中で和らいだような気がした。そのあたりから調子が出てきて、20分の予定が40分もしゃべり続けていた。

 すっかり落ち着きを取り戻した緑川さんは、翌日に一緒にトレーニングを行なうことも意識して、最後にこう発表を締めくくった。

【次ページ】 心配する甲斐から電話が

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