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「プロの捕手に、構え方から」!? “素人”YouTuberがなぜ最強ソフトバンクでコーチを?…千賀滉大が「甲斐拓也もアレをやってくれたらなあ」
posted2025/09/20 11:03
いわゆる「野球YouTuber」の緑川大陸(ひろむ)さんはなぜソフトバンクでキャッチングを教えることになったのか? その紆余曲折を聞いた(写真:本人提供)
text by

熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
Hiromu Midorikawa
技術や理論の進化が加速するいま、長年「捕ったところでミットを止める」のがいいとされてきたキャッチャーの常識が変わろうとしている。捕った瞬間、ミットを素早くストライクゾーンに動かすキャッチング。アメリカではキャッチャーの能力を測る指標としてすでに定着した、そう、フレーミングと呼ばれるテクニックだ。
日本におけるフレーミングの普及、浸透を語るとき、忘れてはならない人物がいる。大学時代までキャッチャーとしてプレーし、のちにキャッチャー専門コーチという珍しい肩書きで活動を始めた緑川大陸さんだ。
千賀滉大のひと言から
緑川さんとフレーミングとの出会い、それは偶然生まれた。
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2021年の年明け、緑川さんは千賀滉大(当時福岡ソフトバンクホークス、現ニューヨーク・メッツ)のマネジメント会社に知人がいたことから、宮古島での自主トレをサポートすることになった。練習を手伝う中、千賀が何気なく口にしたひと言が引っかかった。
「(甲斐)拓也がフレーミングやってくれたらいいんだけど……」
もともとメジャー志向の強かった千賀は、メジャーの情報を貪欲に取り込む中でフレーミングを知り、その有効性に確信を深めていたのだという。
専門コーチでありながらフレーミングを知らなかった緑川さんは、前のめりになってフレーミングについて学び始めた。詳しい人がいると聞けば会いに行って教えを乞い、資料を読み漁り、メジャー中継ではキャッチャーミットの動きに目を凝らす。
「審判をあざむく技術」ではない
「ぼくも学生時代は止めるキャッチングをめざしていたんですが」と前置きして緑川さんは言う。「フレーミングは審判をあざむく技術だと思っている人が日本には多いですが、知れば知るほど、これをやらない理由はないと思うようになったんです」


